「なでしこ世界一」の裏で電話番も経験 「社会人の30代って若い!」代表取締役の今に生きる実業団時代の学び――サッカー・阪口夢穂
3月8日が「国際女性デー」と国連で定められてから、今年で50周年を迎える。2021年から女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた特集「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を実施してきた株式会社Creative2は、節目の年となることを記念して、今年は「女性の生き方を考える」をテーマに運営する3つの媒体で企画を展開する。

「国際女性デー特集」第3回・阪口夢穂(サッカー)
3月8日が「国際女性デー」と国連で定められてから、今年で50周年を迎える。2021年から女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた特集「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を実施してきた株式会社Creative2は、節目の年となることを記念して、今年は「女性の生き方を考える」をテーマに運営する3つの媒体で企画を展開する。
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「THE ANSWER」では姉妹サイト「W-ANS ACADEMY」と連携し、各競技で世界のトップに立った経験がある3人の日本人女性アスリートにインタビュー。第3回は、2011年FIFA女子ワールドカップで優勝した、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)の一員、阪口夢穂さんが登場する。なでしこジャパンの元10番は22年の現役引退後、家業を継ぎ代表取締役に就任。選手時代とまったく異なる道を歩み始めているなか、かつての実業団時代の経験が仕事に生きていると語っている。(取材・文=長島 恭子)
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阪口夢穂さんは日本サッカー史上、21名しかいない「W杯世界一」を成し遂げた選手の1人だ。
2011年の女子W杯ドイツ大会決勝、なでしこジャパンは延長・PK戦の末、優勝候補の米国を破った。激闘を制した雄姿に、サッカーファンやスポーツファンのみならず、日本中が胸を熱くした。
「(W杯優勝については) 自分が成し遂げたという自覚があんまりないんです。右を向くと澤さん(穂希/元サッカー選手。女子W杯ドイツ大会MVP・得点王)がいた。もうね、そこでサッカーをやっていたことに感謝、タイミングに感謝、仲間に感謝です。変な話、今もまだ現実とは思えない。『優勝したなんて、やばい。すごくない?』みたいな。客観的な気持ちです」
阪口さんは22年6月、WEリーグ(女子プロサッカーリーグ)の大宮アルディージャVENTUSを退団。6歳から歩み始めたサッカー一色の人生に区切りをつけた。そして同年10月、地元・大阪府で家業の融星(ゆうせい)運輸株式会社の役員に就任。24年には実兄に代わり代表取締役となった。
「家業は石油などの油種の運搬業です。私の普段の業務は、従業員さんが運転するトレーラーの運行の管理や、銀行や取引先とのやりとりや書類仕事が主です。
兄から代表取締役の仕事を引き継いだ理由は、兄は運転手として大変な戦力だったので、その仕事に集中してほしかったから。うちは家族経営の小っちゃい会社。どっちが偉い、とかではなく、みんながそれぞれの役割を担っていこうぜ、という感じです」