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五輪まで1年半止まっていた生理 登坂絵莉の告白「帰国後、実家に帰った日に再開した」

避妊薬だけじゃないピルの効果、大会3か月以上からの服用を推奨

 伊藤さんがかつてそうだったように、トップアスリートであっても意外と持っていないピルの知識。中高の部活生ならなおさらだ。須永教授が基礎として覚えてほしい情報を分かりやすく説明してくれた。

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須永「ピルというと、初めて耳にするのが中学・高校の保健体育で『経口避妊薬』という言葉。避妊をするための手段として聞く人が多いのではないでしょうか。今は月経困難症、月経前症候群などの治療に使うことがあり、上手に使うことで月経中、月経前のコンディション低下を防げるメリットはあります。一方で、避妊のイメージが強すぎて、嫌悪感を持つ人もいます。ピル自体はお薬なので、もちろん副作用もあります。

 3か月くらい使うと副作用が弱まることもありますが、それも人によって違います。ピルにも何種類かあり、これは合うけど、これは合わないということもあります。まずは月経中、月経前など月経周期によって確実にコンディションが低下するようであれば、まず婦人科に相談すること。それは大会直前ではなく、副作用に対応できる、せめて3か月前、できればオフシーズンに一度試してみるという使い方がいいと考えています」

伊藤「私も引退してから低用量ピルを使ってみたのですが、3か月くらい気持ち悪かったんです。その3か月という期間を考えながら服用していくことが大事なんですね。なぜ、私もピルを急に使ったかというと、生理について男性コーチとあまり話せなかったから。もちろん、1か月に1度、月経が来ることは男性コーチも知ってはいましたが、踏み込んで聞けないし、(男性の)自分の体で起きたことないことを言いづらかったと思います」

須永「私もセミナーで月経の話をすると、男性指導者から『じゃあ、どう伝えたらいいですか?』と聞かれることがあります。それは、指導している対象者の年齢、選手の目的、競技レベルなどで違います。答えを知っているのは指導者自身。例えば、今日の話を聞いて月経がコンディショニングに重要と思ってもらえるなら、そういう前提をきちんと選手に伝えて『だから、月経について話すんだ』と教え、お互い理解すること。そうすることで、男性指導者と女性選手が月経について話すことの抵抗はなくなっていくと思っています」

伊藤「適正体重を維持して無理な減量に走らないために本人は体とどう向き合っていけばいいのでしょうか?」

須永「コンディション管理に体重、体組成、筋肉、体脂肪率の測定をしていくことは、私は大事だと思っています。でも、数字の増減にとらわれすぎないでほしい。『(体重の)数字が下がったから、パフォーマンスが上がる』というのはイコールではない。そこは間違えないでほしいです。日々のパフォーマンスの変化を重視して、その時に体重がどうだったのか、それが月経前、月経後だったのか、しっかり見ていくことが重要です。

 あくまで、体重は後付け。例えば、コンディションが低下した時、何か改善しなきゃいけないという時に一度も体重を量っていなくて、月経周期も見ていなかったら(判断基準が何もなく)原因が目の前にあるかもしれないのに分からなくなってしまう。だから、体重はたくさんある中の一つの要因であることを理解してほしい。まずは目先の数字にこだわらないで、全体を見て判断していってくれたらと考えています」

(「女性アスリートのカラダの学校」第1部レポートvol.3「登坂選手が答えた質問コーナー」に続く)

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)


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