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視覚障がい者もサッカーと同じ原則論を “背中”に書いて伝える日本独自の多様な戦術

ブラインドサッカー(視覚障がい者サッカー/略称ブラサカ)の日本代表コーチを務める中川英治がパソコンを開き、動画を見せてくれた。

ブラインドサッカーで攻守のパターンは何十種類から何百種類へと枝分かれしている【写真提供:日本ブラインドサッカー協会 / 鰐部春雄】
ブラインドサッカーで攻守のパターンは何十種類から何百種類へと枝分かれしている【写真提供:日本ブラインドサッカー協会 / 鰐部春雄】

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 ブラインドサッカー(視覚障がい者サッカー/略称ブラサカ)の日本代表コーチを務める中川英治がパソコンを開き、動画を見せてくれた。

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「これ、凄くないですか?」

 日本は自陣右サイドで相手のプレスを受けている。だがプレッシャーを受けたボール保持者は、後ろの味方につなぎ、GKを経由したボールは、左サイドへ。そして今度は左サイドで受けた選手が、そのまま浮き球でサイドチェンジして味方のドリブルへとつなげた。

 国際試合でプレーする選手たちは全盲である。まず、見えないのにバックパスを通す選択には当然リスクを伴うのに、相手のプレスを回避し、GKを介してサイドを変え、カウンター攻撃へとつなげている。

 ちなみにブラインドサッカーには、スプーンキック(パス)という技があり、回転しない浮き球を蹴るとボールの音がしないので相手に気づかれない(※ブラインドサッカーでは転がると音が鳴る専用ボールを使用している)。視覚があれば一見簡単なプレーの中には、こうして奇跡的な秘技や判断が隠されている。

 中川は対戦相手をスカウティングし、戦略を練ると、ミーティングでは映像を使って解説する。

「映像が流れると、スタッフがそれぞれの選手の背中に回り、それを指で説明するんです。『今、君はここ。相手はこっちにいるよね』という感じ。これでしっかり伝わります。対戦相手の特徴は意図に応じて、可能な限りプレーのシナリオをたくさん用意するのが僕の仕事ですし、戦術を実行するためのツールとして技術指導も行っています」

 一方で多様なプレーモデルは、完全に曖昧さを除去し、言語化して正しく共有する必要がある。対戦国の出方に応じて、ビルドアップのパターンを選択し、それを暗号で伝え、ピッチ内の選手たちが共有し実践していく。攻守のパターンは基本から応用へと、何十種類から何百種類へと枝分かれしている。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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