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「女の子だから」って枕詞は使わなくていい 今、この時代に女性がラグビーを戦う意義

競技の未来を背負い、楕円球を追い続ける女性たちがいる。2019年、男子15人制のワールドカップ(W杯)で起きた空前のラグビーブームに刺激を受け、女子ラグビーの普及・発展を目指す7人制日本代表「サクラセブンズ」。東京五輪を目指して戦う彼女たちが思う、女性がラグビーを戦うことの意義とは。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

小学1年生からラグビーを続けてきた堤ほの花【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】
小学1年生からラグビーを続けてきた堤ほの花【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】

7人制代表「サクラセブンズ」が東京五輪でメダルとともに目指すもの

 競技の未来を背負い、楕円球を追い続ける女性たちがいる。2019年、男子15人制のワールドカップ(W杯)で起きた空前のラグビーブームに刺激を受け、女子ラグビーの普及・発展を目指す7人制日本代表「サクラセブンズ」。東京五輪を目指して戦う彼女たちが思う、女性がラグビーを戦うことの意義とは。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 2019年、「ONE TEAM」をキャッチフレーズにした男子15人制の日本代表は史上初の8強進出。日本中が空前のラグビーブームとなった。それは「サクラセブンズ」のハートを刺激するものだった。

 東京五輪代表メンバー発表前の5月。女子7人制代表を牽引してきた最年長33歳、中村知春はこう語っていた。

「ラグビーに携わる皆さんが口にするのは、ラグビーを文化にしたいということ。2015年のW杯で話題にはなったけど、一時的なものでした。それが2019年のW杯で結果を残すことで、ラグビーの教育的価値を取り上げていただき、文化になっていくきっかけを作れた年。ファンとしては凄いと思う半面、女子の代表としては『やられたな』という悔しさがありました。『これだよな、私たちがやりたいこと』というものを見せてもらった感じ」

 小学1年生から楕円球を追いかけてきた24歳、堤ほの花はW杯の前と後で身をもって変化を感じた。

「『女子ラグビーなんてあるの?』と言われていたものが、『ラグビーやってるの!? 頑張ってね!』と好意的な反応がすごく増えました。友人にラグビー観戦に行きたいと言われたり、電車の中の会話でラグビーの話題が聞こえたり。いろんな人に『ラグビー、知ってるよ』と認識されることがなんかうれしくて……。今までそういう経験をしたことがなかったので、女子ラグビーもこの波に乗って発展していけたらと思うようになりました」

ラクロスから転向し、競技歴2年あまりの白子未祐【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】
ラクロスから転向し、競技歴2年あまりの白子未祐【写真提供:日本ラグビーフットボール協会】

 7人制ラグビーは7分から10分ハーフ。1チーム5人まで交代可能で、ポジションは前線で相手とぶつかり合うフォワード(FW)3人とボールを展開するバックス(BK)4人で形成。これを15人制と同じフィールドで行うため、過酷な競技として知られる。

 15人制と違う魅力もあれば、変わらない魅力もある。一つが多様性。彼女たちは他競技からの転向が少なくない。前述の中村は大学までバスケットボールに打ち込み、大学卒業前の2009年にリオデジャネイロ五輪の正式種目に採用され、転向した。

 そして、25歳の白子未祐はラクロスで大学時代に全日本選手権優勝の経験を持ち、卒業後は広告代理店で勤務していたが、ラグビー関係者の誘いを受けて2019年に転向。競技歴はわずか2年あまり。リオデジャネイロ五輪はスポーツファンとして見ていた。

「まさか、その4年後に自分が目指すなんて思ってなかったです。でも、ラクロスをやっていて、会社勤めという立場から違う競技で代表を目指せるのは私しかいないとその時に思いましたし、そういうもの(多様性)を体現できると思ったこともラグビーにチャレンジした理由です。今まで応援してくれた家族、友人、当時の会社の人に見てもらうのが一番、その証明になる。だから、東京五輪で戦っている姿を見てもらいたいと思っています」

 現在、中村は6人いるバックアップメンバーとして招集。内定メンバー12人と計18人で本大会を控え、東京五輪を目指す戦いは続く。

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