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敗退ラグビー日本に欠けていたこと エディー・ジョーンズの分析、次回W杯へ問う「日本が進むべき道」【特別観戦記】

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は8日の1次リーグ最終戦で日本がアルゼンチンに27-39で敗れ、海外開催初、そして2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)であるエディー・ジョーンズ氏の特別観戦記を掲載。今大会は豪州代表のHCを務めた世界的名将は、接戦を演じながら敗れたアルゼンチンとの差と敗退の原因を「安定感」と分析し、4試合を2勝2敗で終えた今大会を総括した。さらに、次回大会に向けて「日本が進むべき道」を説いた。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

アルゼンチンと接戦を演じたラグビー日本【写真:ロイター】
アルゼンチンと接戦を演じたラグビー日本【写真:ロイター】

エディー・ジョーンズ氏の「THE ANSWER」特別観戦記

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は8日の1次リーグ最終戦で日本がアルゼンチンに27-39で敗れ、海外開催初、そして2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)であるエディー・ジョーンズ氏の特別観戦記を掲載。今大会は豪州代表のHCを務めた世界的名将は、接戦を演じながら敗れたアルゼンチンとの差と敗退の原因を「安定感」と分析し、4試合を2勝2敗で終えた今大会を総括した。さらに、次回大会に向けて「日本が進むべき道」を説いた。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

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 ◇ ◇ ◇

 日本とアルゼンチンの一戦は、本当に素晴らしい試合だったと思います。27-39。日本がアルゼンチンに及ばなかった、この12点の差は試合の内容云々ではなく、チーム力の差にあったと言えるでしょう。

 勝った方が決勝トーナメントに進めるという大一番で、日本はいい戦いをしました。スクラムやラインアウトも良かったし、試合に臨むゲームプランも良かったと思います。一方のアルゼンチンは、縦の攻撃でゲインラインを次々と突破したりモールで攻め上がったり、日本に大きなプレッシャーをかけ続けることができた。その結果、日本は常にアルゼンチンを追う状況から抜け出せず、試合終了を迎えることになりました。

 最終的な勝負の分かれ目は、クリーンにプレーができたか否か、そしてイージーミスが少ない安定感にあるでしょう。それはこの試合に限らず、ラグビーをプレーする上で重要なことでもあります。

 日本は重要な局面でノックオンやハンドリング、タックルした際のバインドの甘さなどイージーミスを犯してしまいました。ゲームの流れを止めるだけではなく、相手に渡すことになる非常にもったいないミスです。強豪国とされるティア1のチームは、こういったミスが少ないものです。

 例えば、一流のテニス選手はラインいっぱいに入るサーブを打つスキルを持っていますが、それ以上に不必要なミスを犯さない安定感を持ち合わせています。世界トップ10に入る選手と、トップ50の選手との差はミスが少ない安定感なのです。そういった意味では、残念ながら日本はアルゼンチンよりも安定感に欠けていたため、相手にアドバンテージを与えてしまいました。

 ただ、率直な感想を言うと、サモア戦、アルゼンチン戦という最近2試合は、日本にとって2019年W杯以来最高の出来とも言える試合だったと感じています。前回大会を終えた後、日本は強化試合など国際大会で苦しみ、いい結果、いい内容のプレーをすることができませんでした。でも、今大会が進むに連れて本当にいいチームになったと思います。

 試合を重ねるごとにスピードが増し、攻撃面でのキックをより多く、より効果的に使えるようになった。以前はロングキックが多かったが、今大会ではハイパントのような相手と競るキックを多用することで、より攻撃的で躍動感あふれるチームになったと思います。2019年に自国開催で見せたような姿を、フランスが開催地だった今大会で示せたことには大きな意味があるでしょう。

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エディー・ジョーンズ

THE ANSWERスペシャリスト ラグビー指導者

1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。

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