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「日本は前回W杯以来、最高の40分間だったが…」 両国とも指揮したエディー・ジョーンズが見た後半暗転の深層【特別観戦記】

エディー氏が指摘した「ティア1に入るチームとティア2にとどまるチームの差」

 2つ目のポイントは、素晴らしかった前半の戦いを試合終了まで続けることができなかった点です。あの集中力と強度の高さを80分間続けられるかどうか。それがティア1に入るチームとティア2にとどまるチームの差とも言えるでしょう。

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 もちろん、日本もこれまでタフな相手に対し、80分間集中力を切らさずに戦い続けたことがあります。それが2015年の南アフリカ戦であり、2019年のW杯です。もし今回のイングランド戦で、前半のような戦い方が最後までできたら、勝敗の行方は非常に面白い展開になっていたと思います。

 プレーの質を落とさずに80分間戦うためには何が必要なのか。それがメンタルフィットネス、つまり精神的なタフさと持久力です。自分がボールを持っている場面でも、持っていない場面でも、集中力を切らさずにプレーし続けることが大切です。

 日本のように緻密な戦い方をする場合は、素速く自分がやるべき仕事に対応するためにも、より一層高い集中力が求められ、非常にメンタル的にタフな試合となります。また、ワールドカップでは体格の大きな選手がカギとなり、パワーコンテストになる場面が間々ありますが、そこで日本は個人のスキルやパワーに頼るのではなく、チームとしてのサポートプレーで対抗することが必要でしょう。

 しかし、疲れを感じ始める後半10~20分あたりから、ゲインラインを突破した時のサポートが遅れるようになったり、手にボールがつかずにノックオンとなるミスが増えてきました。こういった技術的ミスを引き起こすのがメンタル。日本は本当に才能ある優れたチームだけに、非常にもったいない部分だと思います。

 ノーサイドのホイッスルが鳴るまで、前半40分と同じ戦い方を続けることができるか。これが、残るサモア戦、アルゼンチン戦でも勝敗を分けるカギになるはずです。

 どちらのチームも、後半に強度を落として戦えるような相手ではありません。プレーし続け、ボールを競り合い、試合を動かし続ける中で、少なくとも相手と同じ強さのエネルギーを保って戦う必要がある。そうすれば、自ずと勝機が見えてくるはず。キックオフからノーサイドまでムラなく一貫したプレーを続けることが、どれだけ難しいことか。その難しさに挑戦した先に、勝利の二文字が待っているはずです。

■エディー・ジョーンズ / THE ANSWERスペシャリスト、ラグビー豪州代表HC

 1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。今大会は豪州代表HCとして出場している。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)


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