「ネイル、写ってますか?」日本インカレ優勝直後、カメラマンに意外な一言 鵜澤飛羽の爪に筑波愛
陸上の第93回日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ)が9月19日から4日間、川崎市等々力陸上競技場で行われた。最終日に行われた男子200メートル決勝、20秒64(追い風0.6メートル)で2年ぶり2度目の優勝を飾ったパリ五輪代表の鵜澤飛羽(筑波大4年)。大学最後の日本インカレ、レース直後のフォトセッションで母校愛が垣間見える瞬間があった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部カメラマン・フォトコラム
陸上の第93回日本学生陸上競技対校選手権大会(日本インカレ)が9月19日から4日間、川崎市等々力陸上競技場で行われた。最終日に行われた男子200メートル決勝、20秒64(追い風0.6メートル)で2年ぶり2度目の優勝を飾ったパリ五輪代表の鵜澤飛羽(筑波大4年)。大学最後の日本インカレ、レース直後のフォトセッションで母校愛が垣間見える瞬間があった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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「ネイル、写ってますか?」
ファインダーを覗いていると、意外な言葉が降ってきた。200メートル決勝直後のフォトセッション、晴れやかな表情を浮かべた鵜澤から一言。よく見ると、両手で筑波大のポーズを作った指の爪が、ユニホームと同じ「筑波ブルー」。秋の日差しに光っていた。
パリ五輪に出場した大学No.1スプリンター。準決勝はラストに緩めて3着に。着順ではなく記録で拾われ、カーブのきつい1レーンの注目が集まった決勝。全力で20秒間を走り抜けた鵜澤はビジョンを見つめ、1着に自分の名前が読み上げられると、安堵の表情でチームメートの井澤真(4年)と抱き合った。
多くのカメラが一斉に優勝者にレンズを向ける中、鵜澤がアピールしたライトブルーのネイルには特別な想いがあった。
100メートルに出場した後輩の先本貴一朗(3年)に応援席で話を聞くと、大会初日、鵜澤と一緒に会場に向かう道中で「塗ったんだ」と見せてもらったという。チームメートにも、大会初日の朝が初披露。自分で買って自分で塗るネイルは、大学最後の日本インカレで初の試みだった。
「筑波ポーズを取った時に見えるようにって。スタートの時に目に入って気になるらしいですけど、(今大会のトラックは)『(同系色の)青いタータンなので大丈夫だ』って言ってました」と先本は教えてくれた。
今大会、100メートルと400メートルリレーを含め、3種目に出場。予選も合わせて7本走った最後の主戦場、200メートルで見事優勝を果たした。
日の丸をつけたユニホームを着るまでに成長しても、自分を育ててくれた大学への想いは熱い。大学対抗の男子総合順位は2位だったものの、嬉しそうな鵜澤の表情と「筑波ブルー」のネイルから、筑波大陸上部で大学日本一にこだわった母校愛が伝わってきた。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)