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4年前の“伝説の選択”から一歩先へ 伊藤鐘史が託す夢「8強に必ず行くマインドで」

後輩たちの進化と8強入りへの課題を語った伊藤鐘史氏【写真:吉田宏】
後輩たちの進化と8強入りへの課題を語った伊藤鐘史氏【写真:吉田宏】

状況判断の速さこそジェイミー・ジャパンの強み

 伊藤氏が例に挙げるのは、8月3日に行われたトンガ戦終了直前のWTB福岡堅樹のトライシーンだ。

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「起点はボールをもらったSO田村(優)です。パスを受けたときの瞬時の判断がすごかった。トンガの選手が痛んでいると見るや、クイック・スタートで攻撃を仕掛けたんです。おそらく、いまのジャパンもグラウンド上のエリアごとにゲームプランがあるはずです。でも、それを瞬間的に切り替えて攻めた。田村1人の判断に、全員が反応して生まれたトライですね」

 状況判断の速さは、チームを率いる指導者の個性が反映される。前任のエディー・ジョーンズ氏が徹底してトップダウンで戦術を落とし込んでいたのに対して、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)はリーダーグループの選手を中心に選手が話し合い、チームスタイルを創り上げるのが流儀。伊藤氏は、日本代表が統制され約束事を確実に履行するチームから、柔軟に状況判断で戦術を変えていくチームに変貌していると指摘する。

 この優れた状況判断からのトライを見て、伊藤氏の頭をよぎったのが、トンガ戦前の大阪・堺合宿を見学したときの出来事だった。

「田村と話したら、すごく大人になっていた。リーダーも任されてて、宮崎合宿は肉体的にしんどかったけれど、それ以上に(今は)考えるほうに時間を使うから大変だと話していた。あのトライシーンを見た時に、そうやって常に考えながらやっているから、ああいう状況判断ができたんだなと思いましたね」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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