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4年前の“伝説の選択”から一歩先へ 伊藤鐘史が託す夢「8強に必ず行くマインドで」

目先の勝利よりも優先すべき目標は「8強入り」

「4年前の南アフリカ戦は、相手の反則でPGを選ばず逆転を狙いにいって、ああいう結果になった。あのときは日本中が盛り上がって良かったと思うんですけど、今回のワールドカップで同じような状況があったら、ひょっとしたらPGを狙うのが正しい選択になるかもしれない。


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 15年は、勝って歴史を変えるようという思いで戦った。でも、今度は違うはずです。トップ8に必ず行くというマインドセットでいく必要があると思うんです。もちろん選手は、そう考えていると思いますけどね。トップ8にいかないと、日本が盛り上がらないじゃないですか」

 4年前はがむしゃらに勝利だけを見据えて戦った。だが、今回はプール戦2位以上を確保して決勝トーナメントに勝ち上がることが最優先だというのが、前回の“歴史”を切り開いた男の切なる思いだ。

 昨春で現役生活にピリオドを打った伊藤氏だが、15年大会後には新たな挑戦を決めていた。

「あの大会は素晴らしい経験だった。でも選手として次の4年は、正直つらいなという思いがあった。で、神戸製鋼で現役を続けながら、次のステップを考えて動きだしたんです」

 選択したのは、京産大の大学院進学。経営学のマネジメント研究科の修士課程に籍を置いた。敢えてマネジメントの勉強を始めたのは、現役時代の経験が反映されている。

「リコー、神戸製鋼と所属チームではHCがコロコロ変わった。エディー(ジョーンズ日本代表HC)を含めると10数人のHCを経験しているんです。15年くらいの現役時代にね。そこで分かったのは、いいコーチはチームマネジメントがうまくできてるんですね。なので、マネジメントは指導者には不可欠なんだなと考えていました」

 一見堅苦しい経営学の授業だが、実際に学んでみると「結局ビジネスでのマネジメントの理論でも、これまで現役時代にコーチがその手法を使っていたなというものだった。だから、自分のラグビー指導者としてのコーチングに生かせるという期待を持って勉強をしてきました」と振り返る。

 修士修了と同時に京産大コーチに就任。今季限りで退任する大西健監督のもと、伊藤氏と、同じ神戸製鋼OBの元木由記雄ヘッドコーチの体制でチーム強化を進める。2年目の今季は、関西大学春季トーナメントで準優勝と、王者・天理大に次ぐ成績を残した。今季の主将は実弟の鐘平という特別なシーズン。京産大、そして日本代表という強い絆を持つ2つのチームの躍進へ、伊藤氏の胸の鼓動が高まってきた。

伊藤 鐘史(いとう・しょうじ)
1980年12月2日、兵庫県神戸市生まれ。兵庫工高―京産大。LO、FW第3列。京産大卒業後の2003年にリコー入り。08年に神戸製鋼に移籍。日本代表には12年に初選出されて15年ワールドカップ出場。通算36キャップ。17年シーズンで現役を引退して、18年から京産大FWコーチ。弟の鐘平は京産大4年で主将(LO)。現役時代のサイズは191センチ、100キロ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)




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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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