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“復興の街”釜石に流れた君が代 日本を後押しした「熱」と、歴史的1勝の意味

リーチ主将強調「日本の成長を感じる試合でした」

 その地で行われたテストマッチで、市民に勝利をプレゼントした日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、会見で開口一番に「釜石の皆さんが、大変な苦労をして作ったスタジアムで勝ててよかった。練習してきたものを、しっかりと出すことができた。選手の集中力も素晴らしかったし、ボールをよく動かせた。ワールドカップへ向けても、いい戦いができた」と力強く語った。


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 キックを用いて相手を混乱させるアンストラクチャー・ラグビーが、ジェイミーのめざすスタイルだったが、この日は、相手のミスなどでボールが日本に渡った瞬間に、一気に展開する攻撃的なラグビーをみせた。合計1か月以上に及んだ6、7月の宮崎合宿で取り組んでいた、防御から攻撃に転じる反応や動き自体を速める練習の成果が釜石で実を結んだ。

 相手キックからのカウンターアタックなど奔放なプレーが強みのフィジーに、アンストラクチャーでの勝負はリスクが高すぎる。股関節の痛みで昨年11月のロシア代表戦から実戦を回避して、控えメンバーからの出場でジャパンを引っ張ったチームキャプテンのFLリーチ・マイケル(東芝)が、チームの成長を誇らしげに語った。

「10年日本代表でやってきて、日本の成長を感じる試合でした。まだ、試合がどちらにいくかわからなかった後半22分に、リーダー陣が方向性を決めたことが、いちばん成長した部分」

 アンストラクチャーな戦術を多用すれば、相手の強みも引き出してしまう。決まり事をしっかりと守り、キックも相手に取らせるのではなく確実に陣地を稼ぐためのタッチキックを使う戦い方を試合中に選択した。フィジーペースにさせないストラクチャー・ラグビーに戦術を変更して主導権を渡さなかったことを、スキッパーは大きな勝因に挙げた。

 試合前夜には、いつもとは異なるミーティングが行われていたことをリーチが明かした。

「釜石でやることの意味合い、スタジアムの作られ方とかも考えて、釜石の人たちにとっては、どれだけ意味のある試合になるかということを話した。トゥイッケナム(8万人収容のイングランド代表の本拠地)とこのスタジアムとどっちでプレーしたいかと聞くと、みんなこっちでやりたいと話していた。すごくいいミーティングだった」

 難敵といわれた相手に、1度もリードを許さない試合運び。モールから2トライを許すなど課題は残したが、リーチは「きょうの選手の頑張りは、(昨年11月の)イングランド(戦)より上がっていた。全然違っていた」とこの日の勝利の重みを熱く語った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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