2点差で史上初の2冠逃すも「大成功」のシーズンのワケ 琉球が掴んだ“日替わりヒーロー”の組織力
バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝第3戦が27日、神奈川・横浜アリーナで行われ、琉球ゴールデンキングス(西地区1位)が宇都宮ブレックス(東地区1位)に71-73で惜敗。2季ぶり2度目の優勝にあと一歩届かなかった。史上初の天皇杯との2冠達成はならず。それでも、チームの成長に桶谷大ヘッドコーチ(HC)は確かな手応えを感じていた。

Bリーグチャンピオンシップ決勝第3戦
バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝第3戦が27日、神奈川・横浜アリーナで行われ、琉球ゴールデンキングス(西地区1位)が宇都宮ブレックス(東地区1位)に71-73で惜敗。2季ぶり2度目の優勝にあと一歩届かなかった。史上初の天皇杯との2冠達成はならず。それでも、チームの成長に桶谷大ヘッドコーチ(HC)は確かな手応えを感じていた。
指揮官の表情は清々しかった。準優勝に終わった決戦後の会見。桶谷HCは「最後に結果は出てほしかったとはいえ、シーズン通して本当に大成功だと思う」と総括した。「それぞれが持ち味を出して、役割をしっかり担ってくれた。みんなが成長するチームになった。優勝するチームは1つしかない。悔しさはあるが、本当によくやってくれた。ここまで来れたのはみんなのおかげ」と選手を労った。
今季は9月イタリアでのプレシーズン大会から始まった。レギュラーシーズン(RS)中も東アジアスーパーリーグ(EASL)に日本代表として出場。3月にはEASL3位決定戦で敗れた3日後にRSを戦い、その3日後には天皇杯決勝を戦うというハードな日程もこなした。沖縄県勢初の天皇杯優勝を果たしたものの、4月21日には大黒柱の岸本隆一が左第5中足骨を骨折。CSはベンチから見守るしかなかった。
35歳の岸本は「凄いスケジュールの中で4年連続でファイナルに来られたのはチームのスタンダードが上がってきている証明にもなったと思う。個人的にはもちろん悔しいが、勇気をもらう、心に来るようなプレーをしてくれた。望んだ結果ではなかったが、自分たちの過程は凄くいいものだった」とステップアップした後輩たちを称えた。
桶谷HCは「キングスは総合力のチーム」と評した。その言葉通り、ヴィック・ローやジャック・クーリーといった外国籍選手はもちろん、23歳の新人・脇真大、ベンチスタートが中心だった松脇圭志、荒川楓、伊藤達哉、平良彰吾らも随所で輝きを放った。主将の小野寺祥太は「僕らは誰かに頼るのではなく、日替わりでヒーローが出るチーム」と全員が主体的に貢献できる組織力に胸を張った。
勝利した第2戦で13得点を挙げ、主役となった荒川はこの日無得点。囲み取材では悔し涙を堪えきれず、1分以上言葉に詰まった。それでも「昨年に比べたら、確実にうちは成長している」と前を向く。「今季はたくさんのヒーローが現れた。その裏には『俺もやれるぜ』という思いや悔しさがある。一人ひとりが正しく準備して高め合って成長できた」。優勝こそ届かなかったが、確かな成果を掴んだ1年だった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)