秋本真吾さんが西武のスプリントコーチに就任 5年ぶりリーグV奪回を目指す球団が新たな取り組み
投手陣にも期待される効果「ウエイトトレとスプリントトレの掛け算で球速アップに」
昨年は外崎修汰が30歳にしてキャリアハイの26盗塁を記録。春季キャンプで秋本さんが力が入りやすい走りへの意識を和らげる助言が効いたという。一方で今年、期待しているのは一見、スプリントトレーニングの接点が見えにくい投手陣だ。その理由を明かす。
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「例えば、高橋光成さんは凄く積極的に質問をしてくる。高橋さんはもともとダッシュをするとふくらはぎを痛めそうで怖がっていたのですが、投手の皆さんは凄くウエイトトレーニングをする。速い球を投げるために出力を上げるのと筋力を増やすという意味がありますが、走りはトップアスリートになれば、着地した時、片足に体重の5倍ほど負荷がかかると言われる。高橋さんの体重が80キロ~90キロとしたら400キロ以上の負荷がスプリントトレーニングでかかるわけです。でも、ウエイトトレーニングで片足に一瞬で400キロの負荷をかけることは不可能です。スプリントトレーニングの価値はストレングス以上の負荷を一瞬でかけられるという説明をしたところ、すごく腑に落ちた様子でした。そういう風にうまく意欲を引き出すと、『走り見てもらっていいですか?』と自発的に言ってきてくれ、良い循環に入っている。今、投手陣が積極的に取り組んでいるウエイトトレーニングに加えてスプリントトレーニングとの掛け算で球速アップにも繋がると思っています」
スプリントトレーニングを通じて、単に「足を速くする」に留まらない価値を提供している秋本さん。スプリントコーチを始めて12年目、もともと40歳で辞めるつもりが、42歳になっても「まだまだ学習しきれていない」と、この仕事の奥深さを感じている。
こだわるのは、選手に自分で手本を見せられる存在であること。だから、マスターズ陸上に挑戦し、自分を追い込み、“教える選手より速い指導者”を貫く。
「現在地としては何もまだ掴めてないし、得てもない。でも、陸上で言うタイトルのような明確な何かを取ったとしても性格上、満足しない。次の世界があるはずと探求してしまうので。競技もやり切ったと思って辞めたつもりが、全然やり切れてないと終わってから気付いた。なので、コーチ業も一生ゴールはないものと思っています」
プロ野球の全球団、Jリーグの全クラブにスプリントコーチが採用されることをひとつの夢に挙げるなど、「日本のスポーツを変える」という大志を持って、この職業の存在感を自ら高めている秋本さんはこれからも走り続ける。
(THE ANSWER編集部)