陸上・多田修平が心の不調告白「試合に出るのは本心じゃない」 東京五輪代表が100m10秒68の波乱
陸上・織田記念国際が29日、エディオンスタジアム広島で行われ、男子100メートルセイコーチャレンジの部に出場した東京五輪代表の多田修平(住友電工)は10秒68(追い風0.3メートル)で組最下位となる6着に沈んだ。レース後は「試合に出たいのは本心じゃない」と告白した。
陸上・織田記念国際
陸上・織田記念国際が29日、エディオンスタジアム広島で行われ、男子100メートルセイコーチャレンジの部に出場した東京五輪代表の多田修平(住友電工)は10秒68(追い風0.3メートル)で組最下位となる6着に沈んだ。レース後は「試合に出たいのは本心じゃない」と告白した。
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2021年の日本選手権王者は浮かない表情だった。多田は得意のスタートで横並び。中盤は前に出たが、フィニッシュ前にスピードを緩めた。山縣亮太、桐生祥秀らが出場するグランプリの部ではなく、チャレンジの部。雨と寒さの悪条件ながら10秒68に終わり、レース後の取材で笑顔はほとんどなかった。
「まだ何が噛み合わないかのか、正直わからない状態です。試合に出たい気持ちが出て来れば、試合に出たいけど、今は正直その気持ちが出てこない。もう少し陸上を楽しみたいけど……。結果ばかり求めて東京五輪以降は不安なところがあります。そこをなんとかしないと。正直、メンタル面がよくないです。試合に出たいのは本心じゃないです。僕の気持ちの問題です」
東京五輪前の日本選手権で初優勝。王者として五輪初出場を果たしたが、第1走者を務めた4×100メートルリレー決勝でバトンミスを犯した。この日は「東京五輪があって目標が一気になくなった。失敗もしましたし」と回顧。昨年は24年パリ五輪を見据えて再出発したが、「表では頑張ろうと言っていたけど、なかなか中身がついてこない。どう改善したらいいかわからない」と告白した。
昨年6月以降は、長年陸上界を引っ張ってきた桐生が心身の疲労で長期休養した。多田は「僕はそこまで長い間いたわけではないですが、あの気持ちは凄くわかります。もしかしたら(改善に)長期が必要かもしれない」と説明。「不安が9割あって、試合への楽しみがないのが問題。練習はいい動きができるけど、試合だと一気に体が動かずに重たくなる。去年、今年は(レース中に)観客の声が耳に残るくらい集中できていない」と悩みを明かした。
この日は腸腰筋に不安があり、最後にスピードを緩めたが「言い訳するのもよくない。それ(違和感のある状態)でも10秒6は遅い。怪我は特にないので大丈夫です」と体の問題は否定した。時折笑顔を見せながらも、「来年、パリ五輪があるけど、気持ちが来ない。言い訳になってしまうけど、どうにか(突破口を)見つけてまた返り咲きたい。今年は色々と悪いところを改善する年にできれば」と言葉を振り絞った。
(THE ANSWER編集部)