日本8クラブ目、34歳・帰化選手の美学 ウィリアムスが“職人技”で支えるB1島根の躍進
プレータイムが少ないなかで続けた地道な努力
ただし今季のウィリアムスが順風満帆だったわけではない。有力プレーヤーの加入もあり、前半戦はプレータイムが大幅に減っていた。
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ポール・ヘナレ・ヘッドコーチは、こう説明する。
「ローテーションから外れてプレータイムも少なくて、チャンスを得たばかりです。チームに追いつきながらステップアップしているし、私も彼を引き上げて強みを噛み合わせていく作業をしている。これは僕らにとってもいい経験でした。プレータイムが増えるなかで、時間を経るほどに存在意義を出してくれて、チームに対して良いインパクトを与えてくれている」
27日の三遠戦でウィリアムスは、34分5秒のプレータイムで15得点10リバウンドを記録している。何より得点以外の貢献が大きかった。
ウィリアムスはこう強調する。
「人の気づかないような、スタッツに出ないことをやり切るメンタリティが大事だと思っている。相手のスーパープレーヤーを止めようというのもあるけれど、それ以外にも4人いる。5人全員のリバウンドのリバウンドを防ぐ、ルーズボールを取るといったスタッツに見えないことの小さな積み重ねが常に大事だ。小さくてもいろんな要素をしっかり集めることが、最終的にはゲームやチームに大きなインパクトを与える」
プレータイムが少ないなかでも地道な努力を続けた姿勢について、彼はこう説明する。
「10年以上のキャリアがあるので、もっと厳しい状況もあったし、逆にいい状況も経験した。そんななかでも常に“チーム目線”を大切にしている。どんな状況に置かれても、今は何がチームにとって一番大切かを大事にして、チームの成功を自分の成功と受け止めている。タフな状況になればなるほど、チームに必要としていること、自分がするべきことを探して戦う作業をブレずに続けてきた。それがどんな状況でも乗り越えられる理由かなと思います」
日本のバスケに今ほど光が当たらない、タフな環境を強いられる時代から、彼はチームプレーに徹し、自らの“仕事”をやり切ってきた。そんな積み重ねがあるからこそ、今こうしてB1の上位クラブで必要とされ、数字に表れる結果も出している。ウィリアムスの“職人技”が、シーズン山場で島根を大きく後押ししている。
(大島 和人 / Kazuto Oshima)