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UEFAが最新科学から提唱するサッカー栄養学 高校生も参考になる「戦略的摂取」の意識【THE ANSWER Best of 2021】

試合後は「戦略的に栄養を摂ること」が重要

【3】試合の2~4時間前の間に体重1kgあたり5~7ml程度の水分を補給


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 試合中の脱水を予防するため、当日は試合中・ハーフタイムだけでなく、試合前からウォーター・ローディングを行います。試合前後で体重が2~3%以上減らないよう、水分補給を心掛けましょう。

 UEFAの声明では試合の2~4時間前の間に、体重1kgあたり5~7ml程度の水分補給を推奨。体重70kgの選手で350~500mlが目安量です。

【4】試合の直前・ハーフタイムに、約30~60gの糖質を摂る

 ウォーミングアップ後とハーフタイムにも30~60g程度の糖質を摂ることで、ドリブルのスピード、パスやシュートの正確性の向上が期待できる、としています。

 これは今回私も改めて学びになった情報です。これまでの栄養指導の現場経験でいうと、試合開始の30~45分前に多量に糖質を摂取すると、急激に血糖値が低下することがあるため、試合開始直前の糖質摂取は積極的に勧めてきませんでした。しかし、試合開始直前であれば、血糖値やインスリン濃度が上昇し始める前に運動を開始するので、インスリンの分泌が抑えられ、低血糖になりにくい、という考え方のようです。

 試合前はナーバスになって口にものを入れられない選手、ハーフタイムにスポーツ飲料やゼリー飲料の甘い味が口に残ることを嫌がる選手は少なからずいます。しかし、試合直前、ハーフタイムにも糖質をこまめに補給するとパフォーマンスの向上に有利である、ということです。

【5】試合後は糖質とたんぱく質を、一定の間隔を空けながら継続して摂る

 試合後の栄養補給は、心身の疲労をリカバリーするのが目的です。試合中に使い切った筋グリコーゲンや筋肉の修復、そして疲労の回復を早め、次の試合もよいコンディションで戦えるよう、戦略的に栄養を摂ることが重要です。

 そのためにしっかり摂りたいのが、炭水化物とたんぱく質。

 まずは炭水化物。UEFAでは体重1kgあたり1gの炭水化物を、1時間ごとに計4時間継続して摂ることを推奨。体重70kgの選手で考えると1回につき、おにぎり1個+ゼリー飲料1本程度が相当します。摂り方の例は以下の通りです。

(例)19:00試合終了!
19:00 試合終了直後:ロッカールーム
20:00 ロッカールームまたは移動中の車中
21:00 移動中の車中または夕食
22:00 夕食または夜食・補食・果物

 次にたんぱく質ですが、約20~25gの良質のたんぱく質を3、4時間間隔で摂ることを理想としています。例えば試合直後のロッカールームでプロテインドリンクやバーで摂り、3時間後に夕食でもしっかり摂りましょう。

【6】試合後はアルコール飲料を控える、または摂らない

 試合後にアルコールを摂り過ぎると、筋肉の修復や筋グリコーゲンの回復が遅れたり、利尿作用によって体内の水分が損なわれたりする恐れがあります。そのため、UEFAでもアルコールは飲まない、あるいは飲んでも少量に控える――具体的には、2ユニット(1ユニット=純アルコール8g)を超えないよう提言しています。これはビールで中ジョッキ1杯弱、日本酒(純米酒)で1合、ワインならグラス2杯に相当します。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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