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女性より朝食を食べられないプロ野球選手 子ども時代の食習慣が大切なこれだけの理由

新たに講師を務める、公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏
新たに講師を務める、公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏

女性より朝食を食べられないプロ野球選手、大人になって食習慣を変えるのは大変

 食事が思い通りにいかない環境下でも、パフォーマンスを発揮しなければいけないのがアスリートです。試合時間の問題で、お昼ごはんを食べずに試合に臨まなければいけなかったり、食生活が異なる地方や国へ遠征したりという場面は、スポーツで頂点を目指すなら、これから先、いくらでも直面します。

 そのとき、朝食が食べられなかったり、好き嫌いが激しかったりと、偏った食習慣の選手は「どうやって試合や練習に必要な栄養素を補給するのか?」という問題に苦労します。

 トップアスリートのなかにも、大人になってから改善に取り組み、苦労する選手はいます。例えば栄養サポートをしていたあるプロ野球選手は、プロ入り直後のキャンプ中、一般的な大人の女性よりも少ない量の朝食しか食べられませんでした。聞けば、入団するまであまり朝食は食べていなかった、とのこと。しかし、プロになれば学生時代と異なり、年間試合数が多く、試合開始時刻も不規則、遠征も多いと格段に体力を消耗します。

「プロになった以上、朝食をしっかり食べられないと体がもたなくなる。シーズン中に食べ方を変えるのは難しいから、今から食べる習慣を作っておかないとね」。そう伝えると彼は翌日から、「慣れないから苦しいけれど、必要なことなので頑張って食べます」と、他の選手と変わらない量を皿に盛るようになります。数か月経ったときも、朝食量を維持できるようになりましたが、彼の口からは、未だに毎日苦しんで食べているという言葉が出ています。

 彼のように食習慣に偏りがあってもプロになれる方はいますが、大人になってから食習慣を変えることは大変な作業です。体や競技力がグングン伸びる成長期から、よい食習慣と苦手な食べ物が少ない方が、より子どもたちの力を伸ばし、ケガもなくスポーツを続けることにつながることは間違いありません。

 成長期の食生活は、体の土台を作り、生涯の食べ方を決める時期です。保護者の方からは、「子どもにレギュラーで活躍してほしい。強くなる食事を教えてほしい」「どんな栄養素が必要かを知りたい」という要望が非常に多く寄せられます。子どもを応援したい気持ちはとてもわかりますが、まずは特定の栄養素に着目するのではなく「健やかに成長するための食事・食生活」を考えてほしいと常にお伝えしています。

「朝ごはんをしっかり食べる」「好き嫌いなく、何でも食べてみる」「早寝早起きで十分な睡眠と生活リズムを作る」。遠回りのようですが、そうすることが結果、子どもたちが最大限、力を発揮するためには最も大切なのです。

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(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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吉谷 佳代

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

江崎グリコ株式会社で健康食品開発や、スポーツサプリメントの研究開発に従事。その傍ら、多くのアスリート、学生スポーツ、ジュニアへの栄養指導、食育イベントに携わる。2013年に独立。以降、ジュニアからトップアスリートまで幅広い競技の選手に対し、栄養サポートを行う。現在、プロ野球・阪神タイガース、実業団女子バレーボール・JTマーヴェラスのチーム専属栄養士。過去には、シスメックス女子陸上競技部(2015~2020年)、Bリーグ・西宮ストークス(2014~2017年)、自転車ナショナルチーム(2013~2018年)をはじめ多くのプロ選手やジュニア選手の栄養サポート実績を持つ。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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