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戦力外も経験、コーチで残れた球界を離れ… 西武本拠地で球場メシを作る元西武戦士の今

こだわりのビーガン食を提供。ピンクとグリーンを基調としたひと際目立つ店舗だ【画像提供:西武ライオンズ】
こだわりのビーガン食を提供。ピンクとグリーンを基調としたひと際目立つ店舗だ【画像提供:西武ライオンズ】

球場ではファンから激励も…野球人生は「過去のこと」

 開店に当たってはクラウドファウンディングを利用。目標100万円でスタートしたが、SNSでの拡散もあって僅か1日で達成。最終的には289人から340万円の支援を受けた。「本当に有難かったです。こんなスピードで達成できるとは思わなかった」。初期費用を賄えたこと以外にも、大きなメリットを実感している。

「自分がお店を出すという告知を凄くできるので、オープンの時にはお客さんが既に知っていてくれて、来てくれるという二重の効果を感じましたね」

 せっかく球場に店を開くなら、明確なコンセプトがほしい。今後日本でもポピュラーな文化となることを期待し、ビーガン食を提供することにした。カリフォルニアをイメージし、ピンクとグリーンを基調としたひと際目立つ店舗。「現役時代から応援していました」「今後も頑張ってください」と言葉をかけてくれるファンの存在がモチベーションだ。

 引退から5年が過ぎた。未だ認知される存在とは言え、野球人生は「過去のこと」と未練はない。納得して現役生活を終えることができたのは、西武から戦力外を受けた後、日本ハムで1年間戦えたことが大きい。

「戦力外通告の時は『まだやりたい』って気持ちが大きかった。日本でオファーがなくても海外で、とも少し考えました。運よく日本ハムさんに声をかけてもらって、何とかチームに貢献して結果を残したいと思ったけど、やってみて選手としてはここまでなのかなと。

 最後はプロ入りの時と同じキャッチャーで勝負したくて、1年で手応えがなければと覚悟していたので、だからすぐ決断できたんだと思います。渋々諦めて、どうしようかなと次の道に進んだら悔いが残ったと思う」

 消化不良な部分がなかったから「新しい人生のスタート」と前向きになれた。セカンドキャリアに悩める後輩にかける助言は「自分本位で考えてもいい」ということだ。

「答えはないので、気持ちに素直になって道を選ぶというのは大事だと思います。失敗、成功を考えるより、一歩を踏み出すこと。僕もやってみてイメージより難しいと感じたこともありましたが、もの凄くいい経験になったのは間違いないので。全く違う道に進んでも、野球で培った経験は生きると感じています」

 第二の人生、今は喜ばれる店づくりに全力を尽くす。「他の辞めた人の頑張っているところも発信していけたらいい。野球選手でなくなった後も、少しでもファンの方には応援してあげて欲しいんです」。仕事内容は変わったけれど、現役時代と同じ“職場”で同じように野球ファンを喜ばせる。それが自分を育ててくれた野球界への恩返しになるから。

■米野智人(よねの・ともひと)

 1982年1月21日、北海道札幌市出身の40歳。北照高から1999年ドラフト3位でヤクルトに入団。強肩強打の捕手で“古田の後継者”として期待された。06年、古田監督のもと自己最多の116試合に出場。7本塁打を放った。10年途中、山岸穣との交換トレードで西武に加入。外野手に転向した12年、4月の26日のソフトバンク戦では9回2死から逆転満塁本塁打を放った。15年10月に戦力外通告を受け、捕手兼2軍バッテリーコーチ補佐として日本ハムに移籍。16年限りで現役引退した。翌年に東京・下北沢にヘルシー志向のカフェレストランを開店。21年から西武の本拠地球場で「BACKYARD BUTCHERS」をオープンした。現役時代の身長、体重は183センチ、83キロ。右投右打。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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