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英語ができなくても…世界最高峰MLBで求められる日本人 「戻ってきてくれ」藤浪晋太郎の元トレーナー、仕事で海外挑戦する心得

「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第4回は「海外で働く日本人スタッフ」。スポーツで海外挑戦するのは選手ばかりではない。アスレチックスのマッサージセラピスト・木下喜雄さんは阪神から藤浪晋太郎投手と一緒に渡米し、在籍半年で信頼を掴み、球団から乞われて今季復帰。英語ができなくても求められる理由、そして仕事で海外を目指す後進へのアドバイスを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

アスレチックスでマッサージセラピストとして再び活躍している木下喜雄さん【写真:鉾久真大】
アスレチックスでマッサージセラピストとして再び活躍している木下喜雄さん【写真:鉾久真大】

「THE ANSWER×MLB現地連載 #4」――メジャーリーグ取材から探る「アンサー」

「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第4回は「海外で働く日本人スタッフ」。スポーツで海外挑戦するのは選手ばかりではない。アスレチックスのマッサージセラピスト・木下喜雄さんは阪神から藤浪晋太郎投手と一緒に渡米し、在籍半年で信頼を掴み、球団から乞われて今季復帰。英語ができなくても求められる理由、そして仕事で海外を目指す後進へのアドバイスを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

 ◇ ◇ ◇

 ドジャースタジアムの一塁側ベンチに、熱心に試合を見つめる日本人がいた。アスレチックスでマッサージセラピストを務める42歳の木下さんだ。

 2023年、藤浪晋太郎投手(現マリナーズ傘下)がアスレチックスと契約した際に、専属トレーナーとして一緒に渡米。メッツ傘下に所属した昨季まで藤浪を支え続けた。帰国後、3月に大阪で鍼灸院を開業したばかり。だが、わずか2か月でまた米国に戻ってきた。

「物事が急に変わることもあるんだけど……どうだ?」

 自分の店を持って、せわしない日々を送っていたある朝。携帯を開くと思わぬメッセージが届いていた。送り主はアスレチックスのスポーツ医学・リハビリテーション部門でディレクターを務めるブライアン・シュールマン氏。急遽欠員が出たため、チームに戻ってきてくれないかという誘いだった。

「どういった働き方が自分に合っているのか探している段階だった。いい機会。いろいろやってみよう」。家族に相談すると「いいんじゃないの」と後押ししてくれた。13歳、11歳、5歳と3人の息子がいるが、単身赴任で新たな一歩を踏み出すことを決めた。

 英語が話せるわけではない。「ネイティブのスピード感についていけなかったり、言いたいことが言えなかったり。僕が(英語を)できないことはみんなわかってくれているので、気を使ってわかりやすく説明してくれる」。施術においてコミュニケーションは重要なはず。そこに難があるにもかかわらず、木下さんを起用した理由をシュールマン氏に聞くと、こう説明した。

「技術があり、野球選手との働き方を知っている。彼のアプローチは、私たちのものと似ているが少し違うんだ。日本で働いた経験、学んだ技術が、私たちに足りないものを補完してくれる。全てを融合させることで、選手により良い治療を提供することができる。知識があり、野球のことも理解している人を見つけるのは難しい。だから、彼を連れ戻せてラッキーだよ。残ってくれって言わないと」

 藤浪が2023年7月にオリオールズにトレードされるまで約半年間の在籍だったが、その技術と知識で信頼を獲得していた。

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