慟哭する日本代表に「W杯に懸けるあれよ」 朝4時、沈黙の3分間…やがて久保竜彦から零れた敬意「じゃないと、こんなに進歩せん」

絶叫と沈黙 日本代表への深い敬意「並大抵のことやってないでしょ」
この日は編集部のソファでくつろぐ自宅観戦スタイル。
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立ち上がりからカナリア軍団が容赦なく襲い掛かる。「あっ、んあー!」「んー、いやあ!」。響く悲鳴。
前半11分、佐野のチャージで足首を削られたヴィニシウスには驚愕。「ゴリンっていかん(捻らない)のよ。ぎゅーって耐えとった。(足首が)強いんやろな。痛くないんか」
我慢の展開。
目は血走り、姿勢はあぐらから正座に。
「いやあああああ!」。編集部が揺れたのは前半29分。パスカットから持ち上がった佐野が右足一閃。刹那、ドラゴンが壊れた。
「カイシュゥー! ああー、やばい! すごい!」。Jリーグ30年で指折りのセレブレーションとされるひょっとこダンスより興奮した顔で両拳をぶんぶん揺らし、狂喜乱舞した。
そのまま前半終了。「最高。いやあ、最高でしょ」。そう言うと、テレビの音量を下げ、しばし横になり仮眠。
切り替え、大事。後半に体力を温存した。
◇ ◇ ◇
目覚めた後半。8分、右クロスからの折り返しをゴール至近距離で頭で合わされる。冨安が顔面ブロック。「だあああああ! 誰が止めたん……顔、顔やん!」。なんとか耐えた。と思った3分後、無情な展開が。
左クロスから頭で合わされ、揺れたゴールネット。「オフサイッ! オフサイッ!」。ピッチの選手より早く右手を上げてアピールするが、旗は上がらず。「(まだ)同点、同点!」。画面に向かって鼓舞した。
王国ブラジルが牙を剥く。今にも決壊しそうな最終ライン。
菅原と鈴木、田中に町野とカードを次々切るも、有効な打開策を見い出せない。背もたれに身を預け、足を放り出す。独り言ももう聞こえない。
後半アディショナルタイムへ。そして――。
ボールを奪った田中が痛いロスト。刹那、止まる編集部の空気。繋がるパス、シュート……失点。後半終了まであと1分。言葉が出ない。頭を抱える。色を失った表情で、床にドンと足を下ろした。「ああ……」
それからまもなく、試合終了を告げるホイッスル。
「ふぅ~」
深いため息から再び2分ほど沈黙し、やがて感情にならない言葉が零れる。
「勝てそうやったけどね。ブラジル相手にね、あんだけできるようになったっていうのは……まあ、でもね……きついね」

◇ ◇ ◇
W杯はドラゴンにとって誰よりも近くて遠い舞台だった。
エースと期待された2006年ドイツW杯。度重なる怪我で、当落線で涙を呑んだ。テレビの取材を受け、泣いている母を初めて見た。「もう、かあちゃんを泣かせるようなことしちゃいかん」。その夜、1年半やめていた酒に手をつけ、記憶が飛ぶほど飲んだ。
だから、慟哭する選手を見る目には誰よりも深い敬意が宿る。「W杯に懸けるあれ(情熱)が半端じゃないのが伝わるよ。並大抵のことやってないでしょ。こんだけディフェンスできるようになるんか、4年間で」。話すうちに、自然と言葉に熱を帯びていく。
「本当に切り詰めてやったよ。三笘も遠藤もそうやし、冨安も間に合ったけど、怪我した。(どの選手も)怪我する、しないの、ギリギリのところやったと思うよ。じゃないと、こんなに進歩せんよ。すごいよ。走る量が半端ないでしょ、日本。ほんと妥協せん。(欧州で)あんな外国人とリーグ戦で1年間やるだけでも信じられんから。俺らの時代なんか2、3試合で怪我させられて、ハイ、帰国やから」
こうして実施した解説インタビュー。
日本の2失点に共通した原因、森保ジャパンの4年間の歩み、次回2030年W杯に向けて「コイツがレアルかバルサ行くようにならないといかん」と期待した選手まで。
二重が深くなった瞼をこすりながら、最後の想いを語り尽くした。
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