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指名漏れから10年…「由伸2世」の今、現役復帰の理由 32歳、再び全国へ 谷田成吾が歩けば道になる

チームは創部43年目で初の全日本クラブ選手権出場を決めた【写真:古川剛伊】
チームは創部43年目で初の全日本クラブ選手権出場を決めた【写真:古川剛伊】

取材で感じた「応援される人」の印象 信念は「真面目に、誠実に、一生懸命」

 まさかのドラフト指名漏れから10年余りの歳月が流れた。

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 独立リーグ時代は月給10万円、家賃3万円で税金などが引かれれば赤字状態。どん底からここまで這い上がった。現在は朝6時に起きて仕事に邁進し、休日は家族を第一に、限られた時間でグラウンドに向かう。

 この10年を振り返り、「あのままプロに指名されていたら出会わなかった人にたくさん出会って今がある。良かったってなるもんだな。人生って面白いですよね」と今の幸せを噛みしめる。

 慶應出身。高校、大学、社会人、すべて日本代表を経験し、いつも強い肩書きがあった。「由伸2世」もそのひとつ。しかし、今ではビジネスの世界で肩書きに甘えることなく挑戦し続けている。

 メディアに勝手につけられた異名で叩かれ、当時は嫌な想いもした。「今思えば全部ありがたかったです。だって『由伸2世』と言われてなかったら、今こうやってもう1回記事に出してもらうこともないので」と受け止める。

 社会人時代は183センチ、89キロ。今も一目で体育会出身と分かる体格だが、オーラは決してギラギラしたものではなく、気さくで爽やか。そして将来を、真っ直ぐに語る。取材して感じるのは「応援される人」という印象だ。

 振り返れば、大学4年で指名漏れした夜はチームメートが食事会を開いて将来をともに考えた。米国に挑戦した時はクラウドファンディングで240万円の資金が集まり、1度目の引退した時は20社以上の企業から誘いも受けた。

 応援してくれている人に堂々とできる、恥ずかしくない選択をする。上手くいっているかどうかより、「真面目に、誠実に、一生懸命やっています」と言えるかどうか。これが谷田の信念であり、「応援される人」である理由だ。

 現役復帰から2年。5月5日、全川崎クラブは神奈川県予選で優勝し、地元開催の8月全日本クラブ選手権出場を叶えた。創部43年目で初の快挙だ。そして、谷田にはその先にチームにもまだ話していない壮大な夢がある。

「10年後、都市対抗に出たいなと思っています。笑われるかもしれないですけど、15年以内に優勝したい。まずは早く僕をレギュラーから追い出してほしい。まだ僕の方が上手いので(笑)。その後は別の関わり方でチームに貢献したいと思っています」

 そう言って笑う顔に、関わる「人」への愛情が滲んだ。

 谷田が歩けば道になる。多くの挑戦と選択をしてきたが、すべてに誠実に向き合い、進んできた。その姿を見れば、きっと多くの人が旗を振りたくなる。32歳。挑戦は止まらない。

(竹内 悠海 / Yumi Takeuchi)

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