[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

WBC韓国は“暗黒時代”を脱したのか 2009年以降弱くなった理由…侍からは「雑になった」 見えた兆しと課題

代表監督が悔やんだ投手力の差「痛感するのは…」

 今大会で見えた明るい兆しは、新世代の打者が国際舞台で経験を積んだことだ。大リーグで活躍するイ・ジョンフ(ジャイアンツ)は言うに及ばず、1番を打つキム・ドヨン(KIA)は俊足強打で、大リーグのスカウトも高く評価する。4番に据えたアン・ヒョンミン(KT)はパワーに加え、選球眼も大きな武器だ。まだ22歳の2人にとってこのWBCは「自分の場所を確認する」大会でもあった。

【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)

 それでも、課題は山積みだ。ドミニカ共和国戦後の会見で、リュ・ジヒョン監督も「国際大会に来て痛感するのは、韓国投手の球速が他国に比べて劣っているという事実です。こうした部分を学生野球から一歩ずつ着実に作り上げて、より競争力のある韓国代表になっていくのを願っています」と投手陣の課題を口にした。

 ここ10年、世界の球界で加速した球速アップの波に、韓国は乗り切れていない。2023年のWBCでも、2024年のプレミア12でも、韓国選手に他国の投手をどう感じたか聞くと「みんな普通に150キロを投げますよね……」と驚きの言葉を並べていた。

 ただ、韓国にも遅ればせながら波は届いている。今回の代表で最年少だった19歳のチョン・ウジュ(ハンファ)は、150キロ台半ばの直球が武器。キャンプ中の怪我で辞退した22歳のムン・ドンジュ(ハンファ)は最速162キロを誇る。

 問題はその後の環境にある。韓国では2010年代にプロ野球が8球団から10球団に拡張された。その過程で露わになったのが、選手層の薄さ。韓国に野球部を持つ高校は100校ほどしかない。減っているとはいえ、日本の3768校(2025年)とは大きな差がある。

 先発ローテーションを張れる投手が足らず、各球団は外国人の獲得に血道を上げた。一方で高卒すぐの投手がリリーフで酷使され、気が付けば怪我や不振に陥るという悪循環が続いている。2022年のU-18ワールドカップで、日本相手に163キロの速球を投げたキム・ソヒョンは高卒3年目となる昨年、33セーブの大活躍を見せた。ただ、69試合と登板はかさんだ。シーズン終盤の疲れは明らかで、今回の代表を外れた。

 リュ・ジヒョン監督も、外国人投手がプロ各球団の投手陣で中心となっている現実に触れ「全体的な国際競争力を高めるためには、もっと多くの韓国人選手たちが機会を得て、役割を担わなければならないと考えます」と口にした。

 代表の強化は、日常のリーグと切り離せるものではない。幸い、韓国プロ野球は空前の活況を呈しており、昨季は史上最多の1200万人を動員した。今大会の中心となった選手たちは、北京五輪の金メダルを見て育った“北京キッズ”と呼ばれる世代。今の選手に憧れる子どもたちが順調に伸びていくために、改革をどこまで進められるか。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集