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「家に帰れなくなったんです」 豪州4番に届いた1通のDM…送り主は韓国「正直うれしい」夢のプロへ最後のチャンス

日本戦でホームランを放ったホール【写真:加治屋友輝】
日本戦でホームランを放ったホール【写真:加治屋友輝】

米挑戦を終えて就いた鉄鋼工場の仕事「もう行かなくてすむ」

 豪州の国内リーグはいわゆるウインターリーグで、北半球の夏には試合がない。その中で選手たちは、野球以外でもフルタイムの職業を持っているケースが大半だ。ホールも鉄鋼工場で働いていた。ホームセンター向けの商品を組み立てる仕事だ。月~金で週5日の勤務。野球に専念できるプロに戻れればと思うのも当然だった。

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「この後韓国に行くので、家に帰れなくなったんです。でも……あの倉庫に行かなくてすむのは、正直うれしいです」

 かつては大リーグを目指した。2018年から6シーズン、ブルワーズ傘下マイナーでプレーしたが、2023年にA+級で打率.227、11本塁打をマークしたのがベストシーズンだ。その上で日本や韓国といったアジアの国の長所について「彼らは細かいことを正確にこなすんだと思います。基本に忠実というか。たくさん練習しますし、高い強度でトレーニングしています。プレッシャーの中でも力を発揮できます。小さなことをとてもうまくやるんです」と感じている。

 豪州代表が近年好成績を残せているのにも、こうした国と戦っている影響がある。ホールは勝利への秘訣を「ただ、正しいことを正しくやるだけです。スモールベースボールのような細かいプレーをこなし、自分たちのボールを信じ、自分たちのオフェンスを信じること」という地に足のついた言葉で表現する。そして他国の野球をリスペクトはするが「相手が自分たちより優れているなんて考えるつもりはありません」とも言う。韓国でできるだけ長くプレーし、代表がさらに強くなるヒントを持ち帰るつもりだ。

 東京都府中市で行われた事前合宿では、すっかり「ココイチ」のカレーにハマった。「毎日のように食べていました」と言う一方で、激辛の食べ物は「ちょっと苦手」なのだという。韓国では「食べられるものを探さないといけませんね。でも必ず、プロとして生き抜いてみせます」。新たな挑戦は、もう始まっている。

◇ ◇ ◇

 3月5日に第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕した。2006年に第1回が行われてから20年、過去3回優勝した日本の強さが世界に認められる一方、国際大会を通じて世界の野球の距離は着実に縮まってきている。「THE ANSWER」では大会期間中「ベースボールの現在地」と題し、選手やスタッフが“国際野球”に挑む思いを伝える。他の種目と競技人口を比較すればマイナーと言われることもある野球。ただ世界中に、このゲームを愛する人がいる。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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