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ロマチェンコはどこへ行く!? 強すぎる王者の宿命、同階級のライバル不在が浮き彫りに

近未来の希望は21歳のプロスペクト、テオフィモ・ロペスの急成長

 これらのマッチアップも悪くはないが、ボクシングの範疇を超えるような戦いとは到底言えない。こうして見ていくと、“ボクシング界の最高傑作”が近日中に大イベントの主役を張るのはかなり難しいように思えてしまう。

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 外国人選手ながら米国でスーパースターになったマニー・パッキャオ(フィリピン)の幸運は、軽・中量級時代からマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスといったメキシコ出身の好敵手に恵まれたことだった。この3強にすべて勝ち越した時点で、パッキャオはすでに殿堂入りを確実なものにしていた。このシリーズで米国でのネームバリューを上げたからこそ、飛び級でのオスカー・デラホーヤ(米国)戦は実現し、以降の超ブレイクも可能になったのである。

“現代の拳豪”であるロマチェンコの周辺に、同じような好敵手が乏しいのはやはり残念ではある。近未来に希望があるとすれば、まずはライト級のスーパープロスペクト、21歳のテオフィモ・ロペス(米国=12戦全勝(10KO))の急成長か。爆発的なパワー、タイミングの良さ、興味深いキャラクターを備えたロペスがあと1年近くの間に浮上できれば面白くなる。同じトップランク傘下でもあるロマチェンコとの新旧対決は、ビッグファイトに近い一戦になるかもしれない。

 そうでなければ、ライト級勢よりイキが良いスーパーフェザー級王者たちの上昇に期待すべきか。WBC王者ミゲール・ベルチェル(メキシコ/35勝(31KO)1敗)、WBA王者ガーボンタ・デービス(米国/21戦全勝(20KO))、トップランクと契約したばかりのWBO王者・伊藤雅雪(日本/25勝(13KO)1敗1分)といったタイトルホルダーたちは、それぞれ確かな実力とスター性を秘めた選手たち。彼らのうちの何名かがさらに一段上のスターダムに躍り出て、ロマチェンコと立て続けに絡むような構図になれば……。

 パッキャオと“メキシコ三銃士”のようにスケールの大きなドラマはもう2度と生まれることはなくとも、このライバル関係は、好敵手と魅力的なスタイルがあれば外国人でも米国でスターになれることを証明したとは言える。ロマチェンコにいま最も必要なのも、熱いライバルの存在。孤高の達人も、独力ではスーパースターの地位には辿り着けない。その強さと魅力を最大限に引き出すべく、なるべく早いうちに“ハイテク”の宿敵が浮上することを望みたいところだ。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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