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ラグビー日本代表に帰ってきた9番 フランス最強クラブで揉まれ…2季目エディーJに見た課題「キックで上手くいかなければ…」

トゥールーザンの経験を日本代表に還元できること

 こんな齋藤の思いを、チームが理解、共有することを“次”へ繋げていくしかない。それでも、新顔も多く、久しぶりに戻って来たからこそ感じる変化、進化を齋藤は感じ取っている。

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「去年はアタックにフォーカスをしてやって来て、今年はキックを織り交ぜてというのは、いいところが積み重なっているなと思います。後はディフェンスのところを、もう少し詰められればなと思います。それでもやはり、すごく積み上がっている」

 齋藤からの、若手選手へのアプローチも積極的だ。チームに合流してから、コンビを組むSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)、同じSHの藤原忍(S東京ベイ)らと練習後にチームの動画を見て、プレーの確認やどう動くべきかを話し合った。

「フランスで学んだとかじゃないですけれど、オフ・ザ・フィールドでどうやってコミュニケーションを取るかは重要で、一緒に映像を見るとかはどんどんやっていかないといけないと思うし、9番、10番、15番や、今週ならWTBの選手とか、意図的にというよりは、自分が必要だと思ってやっています」

 前所属のサントリーでもリーダーシップを担い、昨季はジャパン・フィフティーンでの試合で主将も託された。フランス最強クラブでの1シーズンで、より積極的にチームに関わろうという姿勢は成長している。合流したての第1戦でも給水係を買って出て、猛暑で通常より実施時間が長かった試合中の給水タイムに、選手へのアドバイス、ピッチサイドから見た情報をチームに送り続けて、12シーズンぶりのウェールズからの金星を支えた。

 トゥールーザンでの経験から日本代表に還元出来ることがあるのかを聞くと、齋藤は「自由」というワードを挙げている。

「試合前後のルーティンとかはあまり変わらないですけれど、ラグビー的には日本より自由なので、そこはもっと伝えられるかなと思います。日本には日本の良さもあるので、そういう形が強みでもある中で、エディーさんもやはりそういう自由さが必要になる場面もあると言っていたので」

 ウェールズ戦を1勝1敗で終えたチームは、一時解散して8月のPNCに挑むことになるが、残念ながら齋藤の参加は難しいだろう。

「まだ決まっていないですけれど、(フランスの)プレシーズンが始まるので、そこはエディーさんとも話をしていて、自分も自分で向こうで必ず成長して、もし(秋の代表戦で)呼んでもらえれば、またヨーロッパで合流できればなと思っています」

 既に日本代表やエディー、トゥールーザンの間では話し合いが持たれているはずだ。齋藤の夏のテストは1試合に終わる見通しだが、チームの成長や、フランスのハイレベルな舞台でプレーを続けた経験値から感じた足りないものも把握出来たのことは、自身にとっても、日本代表にとっても価値あるステップアップの材料になる。

 結果的に日本は、世界ランキングを14位とウェールズ戦前の13位から下げて7月のテストシリーズを終えた。年末に予定される2027年ワールドカップ(W杯)オーストラリア大会組み合わせ抽選会では、世界ランクがシード分けに直結するだけに、秋のテストでは再戦するウェールズも含めて“上位喰い”が求められるが、1歩ずつの進化と、若いチームに足りないものもこの2試合では確認出来た。

「僕自身はこれからもう一回キックの精度を上げていきたい。今回は、かなり蹴っている中で、感触が悪かったですけれど、もっともっと上げられるし、そこの精度が上がれば、どんどん使っていけばいいわけです。そこはしっかりと詰めて、たぶん僕がトゥールーザンにコミットし続けることが結果として自分の成長と日本代表にもいろいろと持って来られることに繋がると思います」

 夏の学びを、8月のPNCも含めてこの先どう結果に繋げるか。齋藤のフランスでの成長も含めて、収穫の秋を待つ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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