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ラグビー日本代表に帰ってきた9番 フランス最強クラブで揉まれ…2季目エディーJに見た課題「キックで上手くいかなければ…」

齋藤が課題として指摘したキックの“その次”

 第1戦のタックル成功回数19に続き、この試合でも同じトップの19タックルを成功させたFLリーチマイケル主将(BL東京)は、敗戦を悔し気に振り返る。

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「2試合連続でスタートのところは改善しないといけない。自分たちの中でいい流れを作れた時と作れなかった時があって、勝つことの難しさも感じたのはポジティブなこと。この結果をしっかり受け止めて、PNC(パシフィック・ネーションズ・カップ)に向けていい準備をしたい」

 この試合で日本は前半20分まで敵陣22mラインを突破出来なかった。競り合うほどのトライチャンスを作れなかった前半について、齋藤はこう明かしている。

「言い訳みたいになってしまうが、前半はボールがものすごく滑ってしまっていた。感覚的には、正直あまり攻められないなというくらいでした。セットピースからはとにかく、(連続攻撃の)流れの中では、スクリューパスもなかなかうまく出来なかった。お互いにそういう(スリッピーな)状況なんですけれど、競り合う展開の中でも、ボールが(日本側に)入らなかった」

 フランスリーグ・TOP14を制して代表に合流してわずか2週間あまり。昨夏の代表戦は経験しているとはいえ、ヨーロッパで1シーズンプレーしてきた齋藤にとっては、日本の猛暑と湿度は繊細なパス捌きに影響したのは間違いない。6月から合宿を続けるメンバーの中では、微妙なパスやコンビネーションのズレも見受けられた。

 齋藤が「ボールが入らなかった」と指摘したのはハイパントの争奪戦だ。チームは第1戦以上に、立ち上がりからSH、SOによるハイパントを多用してきたが「日本が裏に蹴る時に、(ウェールズの選手が)結構3人、4人と下がっているシーンもあった」と指摘するように、相手のキック処理が機能してスコアに繋がる有効なアタックにならなかった。

 エディー自身も、このキックを多用した戦い方を、こう総括している。

「このような(高温多湿な)コンディションの中で、いかにボールを前に運ぶかにこだわったのだが、結果としてキックはどうだったかというと、十分には蹴れていなかった。そこは、しっかり強化していかなければいけない。世界のトップ10のチームと戦うには、ランとキックのバランスがしっかり出来ないといけないが、現状でキックを使った攻め方は不十分だった」

 自分たちの攻め手を封じ込まれて主導権を掴めなかったが、齋藤は“その次”を問題視している。「キックで上手くいかなければ、じゃあ次どこにスペースがあるのか、外側にスペースがあるのか……。そういうところも今後やっていけるんじゃないかと思います」。ウェールズに上手くキック処理をされた一方で、日本代表側の状況を読む力、対応力に基づいたプレーの選択の幅を広げるには、まだまだ学びの余地がある。

 ウェールズは前半3トライを奪ったが、第1テストよりも自分たちの信条とするボールを繋ぎ、パスで攻め込むハンドリング能力を修正してきた。この修正力、柔軟さが、ランクを下げながらもティア1の一角を占めるチームの奥深さなのだろう。第1戦同様に双方ハンドリングのミスは多かったが、パス・キャッチの精度、サポートの厚みを高め、第1戦から驚異的なワークレートを見せ、この試合も断トツのターンオーバー4回を記録したFLジョシュ・マクラウドを中心としたブレークダウンでの激しいファイトなどで優位に立たれたことが、1度もリードを奪えない敗戦に繋がった。

「上手くいかない日もあると思う。それじゃあ、そのプラン1つ目が上手くいかなければ、どうやって、何をするのかというのが次に繋がると思う」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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