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デビュー前の2歳馬に「凄いやろ」→日本ダービー制覇 キズナ×佐々木師から学んだ「走る馬」の基準

競馬の祭典・第92回G1東京優駿(日本ダービー)は6月1日、東京競馬場の芝2400メートルを舞台に行われる。今年は2022年に生まれた7950頭による世代の頂点を懸けた戦い。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとって「一番好きなレース」で、忘れられない馬がいる。人とのつながりを実感し、馬の見方を改めて学ぶことができたという、その馬の名はキズナ。長く競馬に携わっていても鳥肌が立ったレースを振り返った。

2013年の日本ダービー、大外から差し切った武豊騎手とキズナ【写真:産経新聞社】
2013年の日本ダービー、大外から差し切った武豊騎手とキズナ【写真:産経新聞社】

G1東京優駿

 競馬の祭典・第92回G1東京優駿(日本ダービー)は6月1日、東京競馬場の芝2400メートルを舞台に行われる。今年は2022年に生まれた7950頭による世代の頂点を懸けた戦い。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとって「一番好きなレース」で、忘れられない馬がいる。人とのつながりを実感し、馬の見方を改めて学ぶことができたという、その馬の名はキズナ。長く競馬に携わっていても鳥肌が立ったレースを振り返った。

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 日本ダービー。「一番好きなレースは?」と聞かれた時に迷わず挙げるレース名だ。理由はいろいろあるが、2013年のダービーを経験してから、より好きなレースになったような気がする。

 ◎キズナ。本命を決めたのはレース直前ではない。デビューする前、もっと言えば、栗東へ入厩して最初に見た調教で本命を打つことを決めた。ここで当時の予想コラムを掲載させていただく。

「◎キズナ。デビューする前、栗東へ入厩して、調教初日の坂路を駆け上がる姿を見た時に『来年のダービーはこの馬が◎』と決めていました。その気持ちはラジオNIKKEI杯で負けても、弥生賞で負けても、変わりありませんでした。毎日杯、京都新聞杯を連勝したことによって、すでに誰もがキズナの強さを知っている、そんな状況になりました。これで馬券的な妙味は少なくなりましたが、これでいいんだと思います。やっぱり強い馬は、誰からも『強い』と思われてこその強い馬。キズナはそんな馬です」

 これだけ読むと、まるで私に相馬眼があるように思うかも知れないが、実はそうではない。キズナを管理した佐々木晶三調教師が「井内くん、凄い2歳が入ってきたから、一緒にキャンターを見よう」と声を掛けてくださったことがきっかけ。

 調教師という仕事は、馬の管理はもちろん、厩舎従業員の仕事の管理、馬主への連絡、また北海道など牧場への視察など、その業務は多岐にわたる。ゆえに取材する側も極力調教師の負担が減るような方法「囲み取材」などでとどめていることが多い。

 私はフリーランスなので、必ずしも調教師への取材が必要な立場ではなく、自分自身が必要と感じた時にしか話を聞くことがない。よって囲み取材に参加することもないのだが、その分、時間を持て余しているように見えるのか、佐々木先生のように調教時間中に声を掛けてくださる親切な調教師も多い。

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井内 利彰

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。競馬予想TV!(フジテレビONE)に出演中。JRAの競馬場、ウインズのイベントに出演し、JRA主催のビギナーズセミナーの講師としても活躍。著書に「競馬に強くなる調教欄の取扱説明書」「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」などがある。

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