自作グッズ、英国から観戦…ラスベガスで出会った人たちが教えてくれた井上尚弥の「国境を越えて愛されるワケ」

英国から海を渡ってきたファンも
試合当日、会場には自作のモンスターグッズを身につけた別のメキシコ系米国人親子がいた。Tシャツにはなぜかメキシカンハットを被る井上の写真がプリントされている。頭には「NAOYA INOUE」と書かれた日の丸ハチマキ。2023年7月のスティーブン・フルトン(米国)戦で17歳の息子エンジェル・ユクピシオさんがまず魅了され、その影響を受けて父親も大ファンになったという。
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2022年にボクシングを始めたユクピシオさんは、スペイン語で「スムーズ」を意味する「スアベシート」というあだ名を貰った。井上を「本当に特別な存在。ファイトスタイル、メンタリティが大好きなんだ」と敬愛。「彼と戦いたい。2年後だ。僕の名前を覚えておいてよ! 日本に乗り込むからさ」と将来的な対戦を熱望した。
人気は米国内にとどまらない。1日の到着イベントでは、イングランドから海を渡ってやって来た熱狂的ファンに出会った。34歳のレロイス・マーシュさんは1月のキム・イェジュン(韓国)戦も東京・有明アリーナで観戦。「テクニック、能力、スピード。そしてたとえ逆境があっても誰とだって快く戦う意欲が大好き。それは珍しいこと。戦士の心を示している」と魅力を熱く語ってくれた。
井上と共同プロモート契約を結ぶ米興行大手・トップランク社のCEOで93歳のボブ・アラム氏は「彼はボクシングの本質を示してくれた。どれだけ面白く、勇敢で、技術的に優れているか。それがボクシングであるべき姿だ。イノウエとその相手は、それをみんなに思い出させてくれた」と熱戦を総括した。2つの拳だけで魅せる。言葉も国境も越えて愛される理由が表れた一夜だった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)