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日本人が足で世界を制する日 Jリーガーら270人超を指導、「走りのプロ」が描く夢

プロ野球、Jリーグで指導…他競技のプロ選手に共通する“走りの欠点”とは?

 30メートル走の測定では指導した選手の多くが自己ベストを更新。今季は球団から走力アップの指定を受けた選手の一塁までの到達時間が短縮され、5月当初は盗塁成功率がリーグ1位となり、チームも首位に。機動力を生かした走塁から得点が多く生まれ、「走る阪神」に変貌。足が速くなるだけではない。走り方が修正され、ランニング中の肉離れなど筋肉系の故障がなくなった。

 サッカー界でも同様に成果は生まれた。4年に渡り指導してきた浦和レッズMF宇賀神友弥がW杯アジア最終予選で日本代表に初選出。同時期に指導した浦和レッズDF槙野智章と同様、最高速度、スプリント回数も大幅に向上した。川崎フロンターレのFW小林悠、MF長谷川竜也なども課題だった筋肉系の故障はなく、リーグ戦に加え、ACLでも得点を量産。8年ぶりのACLベスト8の原動力となった。

 こうして指導した選手はプロ野球で135人、サッカーではJリーグ、なでしこリーグを合わせ、140人に及ぶ。数々の指導の中で発見したスポーツ選手の“走りの欠点”とは何だったのか。

「『努力度を高める=スピードが速くなる』と思っているアスリートが多いことです。手足を思い切り動かして、本能的に努力度を高めれば、速く走れるというマインドを持った選手がほとんど。接地する場所、タイミング、姿勢を意識して速く走れるアスリートは、ほとんどいないと思います」

 高い身体能力がゆえ、依存してしまう分、技術が欠落していた。だから、アドバイスは「子供と一緒で『姿勢が大事です』からスタートする」という。

「まず、選手に走ってもらって映像を撮ります。自分のバッティングフォームやシュートフォームはあるけど、走りのフォームだけを切り取って見ることが意外とないんです。実際に見てみると、自分が思っていた走りのフォームと違うことが多い。だから、最初に聞きます。今の自分の走りを見て『ポジティブか、ネガティブか』と。そうすると『ネガティブだ』とほとんどの選手が言う。では、なぜスピードが出ないか説明して、この部分を直していきましょうと入っていきます」

 現役のプロアスリートに指導する。他に例がない指導対象の喜びは、どこにあるのか。

「僕は情熱家のタイプ。一番は人が変化した時の喜びを共有したいという思いが強いです。やる気がない人間を切りたくないタイプ。どうやって直していくのか、一緒に悩んで喜び合いたいんです。100分の1秒でも速くなることで、子供も大人も共通して同じ喜びがあります。そこが何よりもうれしい。走り終わって『全然、違うんだけど!』と言って僕の元に走って戻ってくるアスリートの顔を見る。それが、僕の最大のモチベーションであり喜び。僕自身が自己ベスト出した時と同じくらいの喜びがあるんです」

 日本のスポーツといえば、野球、サッカーをはじめ、日本人特有の俊敏性を武器として、世界一を目指している競技が多い。だからこそ、現役トップに位置するアスリートの走りを変えることで、果てしない夢も描くことができる。

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