写真に残った羽生結弦の鬼気迫る目 震災から14年、残した余韻はあの日見上げた星空の如く
フィギュアスケートで五輪連覇を達成しているプロスケーター・羽生結弦さんが座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2025」が9日まで3日間、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開催された。国内外の名スケーターが銀盤を彩ったほか、狂言師・野村萬斎さんがスペシャルゲストで登場。東日本大震災の被災地で希望を発信した主役2人の演技、言葉からはそれぞれの“使命”が伝わってきた。

アイスショー「羽生結弦 notte stellata 2025」
フィギュアスケートで五輪連覇を達成しているプロスケーター・羽生結弦さんが座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata 2025」が9日まで3日間、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開催された。国内外の名スケーターが銀盤を彩ったほか、狂言師・野村萬斎さんがスペシャルゲストで登場。東日本大震災の被災地で希望を発信した主役2人の演技、言葉からはそれぞれの“使命”が伝わってきた。
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報道陣の前で柔和な表情も浮かべた羽生さんとは、全く違った表情が写っていた。
7日の公演初日。囲み取材を終えて、フォトグラファーが撮影した写真を見せてもらう。鬼気迫るものを感じさせる目、背筋はもちろん体の先までピンと張られた姿勢。記者席からは演技中の細かい表情までは目視で確認できなかったが、この時期、この場所、この公演に対する強い思いを改めて受け取ることができた。
今年で3年目のショーの目玉は野村さんとのコラボだった。前半の第1部ラストでは「MANSAIボレロ」をお披露目。リンク中央に設置された特設舞台の上で野村さんが舞い、その周りを羽生さんらスケーターが滑る。
最後は「死からもう1回、次の生に飛翔」する様を表現。2人は高くジャンプし、野村さんは舞台から飛び降りた。東日本大震災から14年。当時、遺体安置所でもあった会場で鎮魂と再生の物語を演じ切った意味は、スタンディングオベーションとなった観客にしっかり届いていた。
第2部の冒頭は2人による「SEIMEI」。野村さんは主演映画「陰陽師」の安倍晴明の装いで登場した。普段は「僕自身が安倍晴明のモチーフになって滑ることが多い」という羽生さんだが、今回は式神のイメージで演技。全身全霊を注いで織り成した世界観に、会場の6256人は再び騒然。ざわつきはしばらく収まらなかった。
五輪を連覇し、プロ転向後も大舞台を経験している羽生さんも、今までとは違った緊張感も味わった。
「とにかく……なんだろう。今日が千秋楽なのかなっていうくらい、全体力と気力を使い果たしました。SEIMEIに関しては特に、何か威厳のようなものを常に背後から感じながら、決してミスをすることができないというプレッシャーとともに、本当にオリンピックかなと思うくらい緊張しながら滑りました」