陸上競技こそ「本当の人類最強と…」 YouTube、Netflix…コンテンツ過多の時代に考えるスポーツを観る面白さ――陸上・田中希実
2025年に日本で行われるビッグイベントのひとつが東京世界陸上。9月、国立競技場を舞台に世界から人間の限界に挑む“超人”が集い、熱戦を繰り広げる。2007年大阪大会以来、18年ぶりの日本開催で盛り上がりが期待される中、このほどTeam Seikoに加入した陸上中長距離の田中希実(New Balance)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「陸上を観る面白さ」をともに考えた。1500メートルと5000メートルの2種目で日本記録を持つ日本最強ランナーは、独自の哲学を持つことで知られる。さまざまなコンテンツが溢れる今、スポーツの魅力はどんなところにあるのか。アスリートの立場から語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

2025年9月に東京世界陸上開催「いろんなストーリーが詰まっているのがスポーツ」
2025年に日本で行われるビッグイベントのひとつが東京世界陸上。9月、国立競技場を舞台に世界から人間の限界に挑む“超人”が集い、熱戦を繰り広げる。2007年大阪大会以来、18年ぶりの日本開催で盛り上がりが期待される中、このほどTeam Seikoに加入した陸上中長距離の田中希実(New Balance)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、「陸上を観る面白さ」をともに考えた。1500メートルと5000メートルの2種目で日本記録を持つ日本最強ランナーは、独自の哲学を持つことで知られる。さまざまなコンテンツが溢れる今、スポーツの魅力はどんなところにあるのか。アスリートの立場から語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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コンテンツ過多の時代。人が余暇を楽しもうと思えば、手段は限りなくある。ドラマ、音楽、ゲームに始まり、媒体もテレビ、YouTube、Netflix、TikTokと多様化の一途。スポーツの観戦、あるいはテレビ観戦もその一部に分類される。
果たして、コンテンツとしてスポーツを観る面白さはどこにあるのか。
スポーツ界きっての読書家であり、作家顔負けのコラムを執筆する筆力を持つ田中は「私自身、読書が好きだからこそだとは思うのですが、いろんなストーリーが詰まっているのがスポーツかなと思います」と、本に例えながら考える。
「表だけじゃなく、裏側(のストーリー)もたくさんあり、深掘りし出すとキリがない。それが観る側にもっと伝わればどんどん面白くなる。どんな(スポーツ観戦の)場も、雰囲気だけで楽しいし、心地良い。陸上ならレースを観て楽しむだけじゃなく、一緒に観る人とコミュニティを作り上げていくように、大会を作って盛り上げる空間があり、(アスリートの)人間の可能性や人間が発するパワーを全身で感じられ、明日からの活力になるんじゃないかと思います」
競技に没頭する田中は、ほかのスポーツを観る機会は「あまりない」というが、こんな話をしてくれた。
「先日、ホノルルで出場した大会で、最終日の晩に『シルク・ドゥ・ソレイユ』を観たんです。すごく感動もしたんですが、ただ単純に面白かったんですよ。気づいたら時間が過ぎ去っていた、という感じ。言葉では言い表せないんですけど、(理屈ではなく)ただただ『もう、“楽しかった”でいいや』くらいの時間だったので、私自身、スポーツもそうでありたいなとすごく感じた。スポーツを観ることが本当に好きな人の感覚に、もしかしたら近いのかなと思いました」
理屈なく、感情が揺さぶられるもの。それが、田中が考えるスポーツの面白さの一端である。