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女子マラソンに23歳超新星が現れた謎が判明 同好会→10か月で歴代10位、小林香菜の急すぎる成長曲線

レース後の会見で「うふふ」と笑顔を見せる小林【写真:中戸川知世】
レース後の会見で「うふふ」と笑顔を見せる小林【写真:中戸川知世】

調整レースで自己ベスト&優勝

 恵まれた素質がトップレベルのノウハウで磨かれた。今年の大阪国際女子マラソンに照準を定め、「40キロ走の代わりに」と調整で出場したのが昨年12月の防府読売マラソン。2時間24分59秒の大会新で優勝してしまった。河野監督は「これは大変だ」とまたも予想を裏切られた。

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「その1週間前のクイーンズ駅伝前に転んで膝を2針縫っていました。抜糸しないまま防府に出たんです。『痛い』より『走るのが好き』が勝ってしまう」

 12月4日から1月9日まで米アルバカーキで初めての高地トレーニング。「最初から速く行ったから絶対に死ぬよ」。監督の忠告もどこ吹く風。というより、ペース配分を掴めておらずぶっ倒れた。「無理だけはダメ」と監視されたが、無事に12月は1200~1300キロを走破した。

 前回大会では前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒をマークし、19年ぶりに日本記録を更新した。その練習法を聞いた河野監督は、少し強度を落としてやらせてみた。「たぶん途中でへばるだろう」という予想も覆され、過酷な練習も乗り越えてしまった。

「私の方が驚いています。彼女の成長に私も追いついていない。彼女は試合になったら、もう一つ違うエネルギーを持っているんだと思います。成長過程にとてつもない結果が出ている。要因を分析しないと次にいけません。現状で『なぜ伸びたか』については、持っているものが凄いということでいいと思います」

表彰式で並んで撮影に応じるウォルケネシュ・エデサ、小林、鈴木優花(左から)【写真:中戸川知世】
表彰式で並んで撮影に応じるウォルケネシュ・エデサ、小林、鈴木優花(左から)【写真:中戸川知世】

 すり足のような独特のピッチ走法。本人は「他の人と一緒の感覚のつもり。特別なものはないです」と中学で自然と身についたという。

 代表は最大3枠。3月2日の東京、3月9日の名古屋で参加標準記録を突破した選手から総合的に判断される。現状では小林が一歩リードした。会見場では終始笑顔だったが、やはり戸惑いも隠せない。

「もちろん世界でマラソンを走りたいと言って入社して頑張ってきたけど、自分の成長に対して、トップ選手ほどの精神面の成長が追いついていないです。上のレベルの方々は、気持ちの面も見ているところが違う。自分もそういうふうに強くなりたい。将来は日の丸を背負ってマラソンを走りたいです」

 9月、東京を駆け抜けるのか。新ヒロインの伸びしろは広く、きらめいている。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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