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30年余りで花園予選1490→549校に激減 高校ラグビーへの提言、“高松北の悲劇”に今も残る忸怩たる思い

ラグビー界への提言、「いけない」ではなく「〇〇すれば出来る/可能になる」

 大半はラグビー畑ながら、長らく日本の競技スポーツをみて、常に違和感を抱くのは、「〇〇してはいけない」というルールが目立つことだ。何度も書いたように少子化の流れは止めようがない。ラグビーの競技人口も右肩上がりとは言い難い状況の中では、「いけない」ではなく「〇〇すれば出来る/可能になる」という規則を柔軟に取り入れていくべきではないだろうか。現場で話を聞いても、関係者の大半が子供たちにラグビーをさせて、試合を楽しませたいという情熱を持っているのは間違いない。だが、組織として作り上げてきたルールや規約の中に、もう少し子供たちがラグビーを、試合を出来るためにはどうすればいいかという考え方をベースにした判断を盛り込んでいくことが求められる時代を迎えているのではないだろうか。

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 今回の辞退というケースでも、個人的には、どうすれば高松北フィフティーンが2回戦を戦うことが出来るのかということを第一義に考えれば、14人の高校生が敗れることなく花園を後にするという悲劇は避けることが出来たのではないかと、いまでも忸怩たる思いが残る。我々取材者や大会役員には、ある1年の出来事でも、14人の子供たちにとって一生胸に焼き付けられる記憶だ。

 熱戦、好ゲームが続いた花園も、首都圏の地上波では決勝戦のみが生中継される程度だ。ワールドカップ開催シーズンでもこの様では、なかなかマイナースポーツという範疇を超えられていない。長らく取材を続ける中で、ラグビーが本当に人気のあるスポーツになるために、最もシンプルで根源的に大切なことは、子供たちに、いかに「憧れ」を持ってもらえるかに尽きると感じている。その大きなゲートウエーになるのがハナゾノだ。この舞台で、笑い、泣き、何かを学んだ高校生たちは、観る側を惹きつけるだけではなく、桜のジャージーを目指す予備軍にも、スタンドで声援を贈るサポーター予備軍にもなる。

 そんな貴重な財産たちに、どれだけ「花園に出られて良かった」という思い出を持って帰らせることが出来るかは、大会に携わる全ての大人たちにかかっている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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