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“変則コース”の五輪選考会MGC、勝負の鍵は? 渡辺康幸が注目する30km以降と「省エネ走法」

陸上のパリ五輪マラソン日本代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が10月15日、国立競技場を発着とする東京都内のコースで開催される。MGCは、4年前に実質一発勝負の形式で初めて実施された五輪の選考会(男女上位各2名は代表内定、3位は選考対象選手に)で、戦う側、見る側の両方からその「分かりやすさ」が広く受け入れられ、今回も踏襲されることになった。ここでは指導者であり、マラソン・学生駅伝の解説でもお馴染みの渡辺康幸氏(住友電工陸上競技部監督)に、ランナーにとっては負荷のかかる変則コースを踏まえて、レース展開について話を聞いた。(取材・文=牧野 豊)

2019年9月に開催された前回のMGC。2回目となる今大会を渡辺康幸氏が展望した【写真:Getty Images】
2019年9月に開催された前回のMGC。2回目となる今大会を渡辺康幸氏が展望した【写真:Getty Images】

10月15日にパリ五輪切符を懸けて東京で一発勝負

 陸上のパリ五輪マラソン日本代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が10月15日、国立競技場を発着とする東京都内のコースで開催される。MGCは、4年前に実質一発勝負の形式で初めて実施された五輪の選考会(男女上位各2名は代表内定、3位は選考対象選手に)で、戦う側、見る側の両方からその「分かりやすさ」が広く受け入れられ、今回も踏襲されることになった。ここでは指導者であり、マラソン・学生駅伝の解説でもお馴染みの渡辺康幸氏(住友電工陸上競技部監督)に、ランナーにとっては負荷のかかる変則コースを踏まえて、レース展開について話を聞いた。(取材・文=牧野 豊)

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 今回のMGCは前回大会の約2倍に当たる男子61名、女子は24名がエントリー予定だが(10月12日時点)、42.195kmのコースも前回以上に厳しさを増したデザインに変更された。

 中でも特徴的なのは主要スポット(小川町・上野広小路・内幸町)をポイントにした周回コースを2周する(8キロ付近から33キロ付近まで)設定で、そのため折り返し地点(180度方向転換するポイント)は前回の2倍となる計6か所に。加えてほぼ直角のコーナーが14か所、ゴールまでの残り5キロは上り基調な上に、さらに細かいアップダウンが2か所あるため、選手にとっては肉体的、精神的な強さが問われるタフなコースとなっている。

 渡辺氏はその特徴も踏まえて「序盤からスローペースとなり、30キロ以降の勝負になる」とレース展開を占うが、コース自体を特別意識するわけではないという。

「オリンピックの選考会は記録を追求するレースではなく、上位2番に入るためのレースです。折り返しが多いコースでも皆同じ条件で走るので、そこは気にしていません。ただスピードは出ませんので、序盤からスローペースでレースが進み、勝負は30キロ以降になると思います。

 ハーフ(21.0975キロ地点)の通過は男子が早くて1時間6分30秒前後、女子はそれにプラス9~10分くらい。優勝タイムは男子が2時間11~12分台、女子は2時間28分前後。前回よりも記録が出にくいコースなので、暑ければもう少し遅くなってもおかしくないかもしれません。うち(住友電工)からは3選手(村本一樹、中村祐紀、高田康暉)が出場予定で試走もしましたが、近年は駅伝を含めて気温30度に近い10月のレースもあるので、コース対策よりも暑熱対策のほうが大切になってくると思います」

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牧野 豊

1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「NBA新世紀」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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