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ラグビーW杯メンバー争いが激化 6月から“45→33人”選考開始、日本代表HCの思惑とは

ジョセフHCが明かしたリーチら主力への信頼

 会見では、6月からのメンバー選考をどう進めていくかを聞いてみた。

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「去年はコロナの影響があり、夏のフランス戦でも試合後に11人の選手がいなくなるようなこともあった。しかし状況が緩和されてきたなかで、たくさんの人数で準備するのとは違うチャレンジがあると思っています。45、46人と選手を集めて、最終的には23人しか試合に出られないのだが、試合でプレーさせることが重要だと考えている。少人数のほうが、選手はより多く試合ができる。そういうところは考えています」

 指揮官が触れたように、代表合宿は多くても45人程度で行われる可能性がある。確かに試合登録の23人から見ると倍の人員となるが、今大会から増枠されたW杯登録選手数33人からだと、主要なメンバーはほぼ固まっていると考えていい人数だ。6月の招集時点でも怪我やコンディション不良を抱えている選手もいれば、フィジカルな相手ばかりである今後の6試合で負傷離脱する恐れもある。そのような戦力の出入りを踏まえると、45人という数字は、幅広く選手の可能性を見ていく人数ではない。

 ジョセフHCは誰にでもチャンスがあると語っているが、日本代表の強化は選手選考の段階からメンバーを固めながらチームとして仕上げていくステップに移行しているだろう。会見では「2019年までの準備では、スーパーラグビーでたくさんのハードなラグビーを経験できた。今年は前回とは違う準備をしていかないといけない」と指摘する。他の強豪国以上に、日本はパンデミックにより強化の時間を削がれたことも影響して、開幕までの残された時間はチームとしての完成度を高めることが大きなテーマになる。

 さらに指揮官は「今までチームにいた選手は重要な役割を果たすと考えている。W杯でも成功の土台になるだろう。この間のリーグワンの試合でもリーチ・マイケルが素晴らしいパフォーマンスを見せたし、パナソニックのFW第1列も素晴らしい試合をしていた」と語っている。ある程度固められた顔ぶれのなかで、コンディション不良や、一部ではスコッド入りを争うボーダーライン組のサバイバルなど新陳代謝をしながら、強化が進むことになりそうだ。

 W杯までの対戦カードも興味深い。オールブラックス(ニュージーランド)XV(フィフティーン)と2試合(7月8日・秩父宮、15日・熊本)を戦い、パシフィックネーションズカップ(PNC)でサモア(22日・札幌)、トンガ(29日・花園)、フィジー(8月5日・未定)を迎え撃ち、8月26日には敵地でイタリアと対戦(会場未定)する。

 オールブラックスXVは同国代表候補のなかで正式なテストマッチ以外の試合をする時の呼称の1つで、ジョセフHCは「オールブラックスのBチームと考えているが、その時点で代表に選ばれていない選手のため、高いモチベーションで挑んでくると思う。タフな試合ができる」と説明する。昨秋3試合を行った、オーストラリアA代表に似た位置づけのチームだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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