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ラグビーW杯まで11か月、日本代表の現状は? “1.5軍”豪州戦で見えた列強打破の条件

坂手淳史と稲垣啓太が語った収穫と課題

 迎えた日本側もテストマッチ外の試合のため、代表ではなく「ジャパンXV」を名乗り、ジャージーもいつもの赤白の横縞を黒白に変えて臨んだ。代表合宿に参加する41人(9日発表メンバー)の中から、こちらも経験者、若手が混じり合った編成だったが、3試合とも終盤まで競り合う戦いぶりをどう評価するかは、意見が分かれるところだろう。しかし、連敗の後に競り勝てたことから、日本代表というチーム特有の、他国にはないチーム作り、強化を読み取ることができる。HO坂手淳史主将(埼玉パナソニックワイルドナイツ)は会見で、3連戦を終えたチームの状態をこう振り返っている。

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「1試合目、2試合目から3試合目へ向けて成長した部分がたくさんありましたし、チームの中で共通認識としてやるべきことを明確にして、コネクションし続けるということもゲームの中で途切れることはなかった。そこには手応えを感じています。第2戦と同じように、後半相手に流れがいく時間帯が15分間くらいあったが、あのまま崩されかねないところで、たくさんのリーダーたちがコミュニケーションをとってくれたし、みんながやるべきことをもう一回、しっかり明確にして戦えたのが大きな収穫だったと思います。ここからのテストマッチも難しい、しんどい時間がたくさんあると思いますが、その中でも自分たちが繋がり続けて、やるべきことを明確にし続けて戦っていきたいと思います。そういうゲームの一つのやり方が学べた試合だったと思います」

 第1戦は後半21分に、第2戦ではインジュアリータイムの後半41分に、それぞれ逆転を許して敗れている。会見で坂手主将はチームの“繋がり”をキーポイントに挙げているが、2019年W杯でも活躍したPR(プロップ)稲垣啓太(埼玉WK)は、第2戦まで連敗したチームの課題をこう指摘する。

「自分の役割をどれくらいの精度でできるのか。僕だけじゃなく、(先発する)15人、(控えも含む)23人が、しっかり効果的に役割を果たさないと結果は伴ってこない。(過去2戦は)もちろん、みんなの頑張りは凄かったと思うが、大事な場面で選手個々が担う役割の遂行力に綻びが出て、逆転負けという結果として表れてしまった」

 2人のコメントの背景には、日本代表が目指す高度に組織化されたチームの理想の姿と、その難しさがある。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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