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フランスW杯4強へ、残り1年でやるべきこと 日本代表ジョセフHCが語る躍進のシナリオ

列強国との間にある“失われた2020年”の差

 パンデミックが世界に広がった2020年に、実質上すべての活動が中止となった日本代表は、世界の列強から差をつけられてしまった。

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 南半球ではニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンが、同年10月に特別開催された「トライネイションズ」でテストマッチを再開。ヨーロッパでも11月に8か国が参加して「オータム・ネイションズカップ」が行われ、感染の危険を孕みながらも強豪国同士が強化を推し進めた。イングランドは同年秋から年明けの6か国対抗までテストマッチ10試合を戦い、アルゼンチンも11、12月にニュージーランド、オーストラリアという世界トップクラスの相手との4試合を含む7試合を消化している。

 それに対して日本代表が実戦を再開したのは21年6月のこと。その後、今年7月のフランス代表戦までの2年間で、通算10試合のテストマッチを行ってきたが、W杯で打倒を目指すイングランド、アルゼンチンのそれぞれ23試合(7月までのテストマッチ合計)と比べると、“失われた2020年”の差はいまだに埋め切れていない。日本代表も、臨時に編成されたサンウルブズらを相手にテストマッチ以外のゲームを行い、なんとか試合数を増やしている。10月に日本代表(候補)で編成されるジャパンXV(フィフティーン)が、オーストラリアA(同国準代表)とノンテスト3試合を組んだのも、ゲーム数を増やすための苦肉の策だ。

 そして2019年大会までの強化と比べると、さらにマイナスとなる状況に晒されている。南半球の強豪4か国のプロチームが参入するスーパーラグビーに、日本から参戦していたサンウルブズが、2020年シーズンでの契約切れを契機にリーグを締め出されたのだ。“契約切れ”という表現は穏便だが、実際は日本を拠点とするサンウルブズが参戦することで増える対戦相手の遠征費などの膨大な拠出金を、チームおよび日本協会が支払えず追い出されたというのが実情だ。

 サンウルブズに日本代表選手や、これから代表入りを期待される若手を送り込むことで、南半球強豪国の代表選手たちと毎週のように戦う環境が、19年W杯での躍進を大きく後押ししたのは間違いない。2日の会見でもジョセフHCは「スーパーラグビーがあれば16試合という長く、たくさんのゲームができるのだが、それが失われてしまったので、現在組まれている代表戦のなかで選手を成長させ、自分たちのパフォーマンスをしっかり上げていかなければいけない」と、その損失に触れているが、代表強化にとっての大きな痛手は、いまだに埋め合わせることはできていない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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