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日本は「すべてが素晴らしかった」 日韓W杯で来日、8大会取材の英記者が語る思い出

毎朝のように京都へ「寝る間も惜しんで日本を満喫した」

「最大の問題は、サッカー以外のことに面白いことが多すぎて、全く睡眠時間が取れなかったことだった。文字通り、寝る間も惜しんで日本を満喫したよ」

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 淡路島でキャンプを張ったイングランド代表の取材で、ヘンリーは神戸駅に隣接するホテルに宿泊したという。

「早朝に新幹線に飛び乗って、毎朝のように京都に行った。素晴らしい寺や庭を散策して、そして午後の(スヴェン=ゴラン・)エリクソン監督の会見のために神戸に戻る。そんなふうに僕の日本のワールドカップが始まったんだ。文化、景色、食べ物……とにかく、すべてが素晴らしかった。それに日本は(物価が)高いって風評もあったけど、そんなことは全くなかったね。もちろん、5つ星のホテルは高いさ。でも新幹線の中で食べた、そしてすごく美味しかったお弁当は5ポンド(約800円)くらいで、手頃な値段だった。

 食事と言えば、アルゼンチン戦で札幌に行った時、当地の日本人の知り合いが『ここの寿司は日本一美味い』と言って連れて行ってくれた店があった。日本一ということは世界一だ! 札幌に3日間滞在したが、その間の9回の食事はすべてその寿司にした。美味くて感動さえした。ロンドンにも1980年代から寿司レストランはあったけど、全く比べものにならなかったな」

 神戸では、かなり酔って入ったバーにペンギンがいたので、その場で買い取ってロンドンに連れて帰ろうとしたらしい。しかし翌日酔いが覚めて、英国への動物の持ち込みには相当の手間暇と料金もかかると実感して「断念した」という。また東京に滞在した際には六本木のナイトクラブに夜な夜な出没し、秋葉原のユニークさに目をむいた。そして、どこに行っても日本でのデービッド・ベッカム人気に心底驚いた。

「まさに、それこそビートルズのような扱いだったね。街中ではソフトモヒカンで、背番号『7』のイングランド代表のレプリカを着て、アディダスを履いた10代の少年たちをよく見かけた。しかし練習場に大勢の女性ファンが詰めかけて、黄色い歓声を上げて『結婚して!』って叫んでいるのを聞いた時には、本当にびっくりしたよ。イングランド代表のサッカー選手が、しかも外国で、これほど熱狂的に歓迎されたことはなかった。前代未聞だった。

 神戸のハードロックカフェだったと記憶しているが、ベッカムが出かけて行った時はあっという間にものすごい人垣ができて、凄まじい喧騒が生まれた。正気の沙汰とは思えない歓迎だったけど、ベッカムは上手く対応したね。そんなベッカム人気を歓迎したのはイングランドの他の22人の代表選手たちだった。ベッカムばかりに注目が集まるものだから、街に出かけてもメディアに気づかれず、自由に動き回れたって喜んでいたよ」

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森 昌利

1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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