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「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年

HSBCセブンズシリーズのラングフォード大会に出場した女子7人制日本代表【写真:JRFU】
HSBCセブンズシリーズのラングフォード大会に出場した女子7人制日本代表【写真:JRFU】

来年スタート予定の革新的な国際大会「WXV」

 女子のRWCは、今年のニュージーランド大会後に出場枠を12から16に拡大する方針だ。地域予選も含めて日本代表にはチャンスが広がることになるが、同副会長は「アジアで1位というのは、やり続けなくてはいけない」と、アジア女王のポストを守り続けることも大きなタスクと考えている。

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 アジアナンバーワンを重視する背景にあるのが、来年のスタートを目指す新たな国際大会「WXV」だ。ワールドラグビーが立ち上げた女子ラグビーの画期的な大会は、各国・地域の実績などを踏まえて16か国がWXV 1(6チーム)、同2(6チーム)、同3(4チーム)に分かれて行われる。RWCイヤー以外は毎年開催されるこの大会は、男子や7人制に比べると定期的に強豪国と対戦する機会が少なかった女子15人制にとっては革新的な大会だ。

「この大会が始まることで、日本でも7人制と同時に15人制もさらにレベルを上げていく必要があります。この大会でアジアの1位はWXV2に入ることになります。今の位置づけだと日本がそこに入るのですが、ワールドラグビーはアジアで実際にトーナメントを行い、その結果で参加国を決めていく方針です。なので、来年予定されるARC(アジア選手権)をしっかりと勝ち抜かなければいけない。これからは従来以上に7人制と15人制の活動カレンダー、そして国内大会をしっかりと整理していく必要があります」

 日本代表が今回の遠征参加選手を増やしているのは、今秋のRWCを踏まえての判断だが、来年以降、毎年開催されるWXVを戦い抜くために、現状よりも選手層に厚みを持たせるのが課題になることも視野に入れている。

「女子の15人制はRWC以外に大きなイベントがなかった。そのような状況のなかで、ワールドラグビーが15人制の大会を増やそう、価値を上げていこうということに力を入れ始めています。そこに日本の女子ラグビーも乗っていきたい。ただ、7人制もパリ五輪が本当にすぐやってくるので、そこをしっかり協力しながらやっていくことになる」

 代表強化の貴重な試金石になるオーストラリアでの3試合だが、遠征後もRWC本番まで強化の手綱は緩めない。浅見副会長が遠征後の強化プランを説明する。

「計画としては、もう少し試合をやらなければいけないと考えています。まだお話できる段階ではないですけど、レスリーHCからも、もっと試合をやらなければいけないという要望がある。日本の場合、選手、チームの経験値に繋がるキャップ数が強豪国に比べて断トツに少ない。今の選手では多くて30キャップ程度ですが、6か国対抗でプレーする選手はさらに多い。なので、とにかく試合経験を増やしたい。RWCのために現地入りした後のウォームアップゲームも含めて準備していきたい」

 6月以降の代表戦については、日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事も実施する方向で調整していることを認めている。強豪国に敵地で胸を借りるケースが多く、2020年以降はコロナの影響もあり海外遠征が中心の日本代表だが、RWC前に国内で雄姿が見られる期待も高まっている。

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浅見敬子

日本ラグビーフットボール協会副会長(女子15人制日本代表ナショナルチームディレクター) 
1977年3月4日生まれ、東京都出身。日体大在籍時の1996年に15人制女子日本代表に初選出。ニュージーランドへのラグビー留学も経験し、2004年からは7人制女子日本代表でも活躍した。07年の引退後は女子日本代表のコーチとなり、12年からは7人制女子日本代表ヘッドコーチとして16年リオデジャネイロ五輪出場に導いた。現在は日本ラグビーフットボール協会副会長、女子15人制日本代表のナショナルチームディレクターを務める。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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