ラグビー強豪が医療で地域貢献へ 埼玉ワイルドナイツ、本拠地にクリニック開院の理由
ラグビー・リーグワン初代王者を目指す埼玉パナソニックワイルドナイツの拠点・熊谷ラグビー場に新たな魅力が加わった。3月1日に、整形外科、リハビリテーション科を備える「ワイルドナイツクリニック」が開院。選手の治療はもちろんだが、チーム外のアスリートや周辺住民らの治療、リハビリなどを支援して、地域医療、健康増進への貢献も目指す。昨夏の移転と同時に作られたカフェやホテルも巻き込んだ新しいビジネススタイルで、“野武士”たちが地域の活性化、コミュニティーの拠点作りを目指して進化を続ける。(取材・文=吉田 宏)
熊谷ラグビー場近くに「ワイルドナイツクリニック」がオープン
ラグビー・リーグワン初代王者を目指す埼玉パナソニックワイルドナイツの拠点・熊谷ラグビー場に新たな魅力が加わった。3月1日に、整形外科、リハビリテーション科を備える「ワイルドナイツクリニック」が開院。選手の治療はもちろんだが、チーム外のアスリートや周辺住民らの治療、リハビリなどを支援して、地域医療、健康増進への貢献も目指す。昨夏の移転と同時に作られたカフェやホテルも巻き込んだ新しいビジネススタイルで、“野武士”たちが地域の活性化、コミュニティーの拠点作りを目指して進化を続ける。(取材・文=吉田 宏)
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令和の野武士軍団はなんでもやる。
リーグワン前半戦の注目カードで東京サントリーサンゴリアスを34-17で下した3日後、熊谷ラグビー場近くに「ワイルドナイツクリニック」がオープンした。建物正面の多くがガラス張り、シャープな外観デザインの鉄筋2階建て。ワイルドナイツのクラブハウスと同じパナソニックホームズが建設したこともあり、統一感を印象付ける。建つのは、熊谷ラグビー場やワイルドナイツの拠点である複合施設「さくらオーバルフォート」がある熊谷スポーツ文化公園のラグビー場入り口横。クリニック外壁上部には、ラグビーファンなら馴染みのある野武士のチームエンブレムが掲げられる。ワイルドナイツの飯島均GMも、クリニック2階の広大なリハビリテーションルームを満足そうに見渡した。
「私たちにとってはサントリー戦も大切な試合だったが、それと同じか、それ以上に大切なクリニックです。医療は、私たちが熊谷に移転する時のマストの話でした。何年か後に考えましょうというのではなく、これが私たちが来るためには必要だと、自治体、商工会の方とも相談してきました。
私たちのチームは3つのことをやりたいと思っています。1つは社交、1つは健康、1つは人間形成で、その中の健康という意味で、ここ(クリニック)は、さくらオーバルフォートの敷地外ですけど、ハブになって、ここから拡張していくようなものを作っていきたい。これからの高齢化社会の中で健康寿命、公園のあるべき姿だったり、チームとしてのあるべき姿を創り出していきたい」
総床面積およそ1300平方メートルの中に、2階の大半を占めるリハビリテーションルーム、1階には診察室、MRIルーム、CTルームなどが整然と並ぶ。2年後には高圧酸素室も設置する計画だ。医療スタッフはスポーツドクターとして長らくラグビー協会にも携わってきた院長と、埼玉医大病院の医師2人、ワイルドナイツのチームドクターが週替わりで4人、看護師3人、そしてリハビリ療法士5人でスタートする。チームのための医療施設と思わせる外観とロケーションだが、億単位の費用をかけて事業主になったのはワイルドナイツでもパナソニックでもない。総合商社イービストレード株式会社のメディカル事業部門が母体となり、そこにワイルドナイツからもスタッフが参画する、誰もが受診できるクリニックだ。