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羽生結弦の言葉に感じた達観の境地 「もう何も怖くない」今、4回転アクセル成功なるか

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

フィギュアスケート、男子SPで8位発進と出遅れた羽生結弦【写真:AP】
フィギュアスケート、男子SPで8位発進と出遅れた羽生結弦【写真:AP】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#44 日本勢3人の明暗が分かれたSP

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 フィギュアスケートの男子ショートプログラム(SP)が8日に行われ、日本勢3人の明暗が分かれた。ともに自己ベストを更新する会心の演技で鍵山優真が2位、宇野昌磨が3位と好スタート。一方で94年ぶりの五輪3連覇を目指す羽生結弦は8位と出遅れた。3人がSPで見せた演技と言葉から、10日に行われるフリーの行方を展望する。(文=辛 仁夏)

 ◇ ◇ ◇

 北京五輪最大の関心と注目が集まったフィギュアスケートの男子SPが8日、現地の首都体育館で行われ、日本勢は明暗が分かれる結果となった。

 トップ選手の中で最初に登場したのは五輪2連覇中の“絶対王者”羽生結弦。五輪本番のリンクに27歳の五輪王者が戻ってきたことに、待ち望んでいた世界中の多くのファンは喜んだに違いない。そして、羽生がどんな演技を披露してくれるのか、大きな期待をもって見守ったはずだ。

 名前をコールされてから、羽生は最初のポーズを取る時間をいつもより使った感じがした。そして、気合を入れて作ったSP曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』の音楽が流れると、落ち着いた表情で演技が始まった。

 冒頭の4回転サルコーを跳ぼうとした瞬間、右足がふわっと宙を舞ってすぐに着氷した。予想もしなかった1回転になる失敗ジャンプ。それでも、羽生は顔色を変えずに演技を続け、2本目となるトウループの4回転―3回転の連続ジャンプを鮮やかに決めてみせた。GOE(出来栄え点)で4.07点の加点がつく。その後はミスを挽回するような完璧な滑りで、大好きなピアノ曲に乗って羽生らしく力強く、しなやかにリンクで躍動した。

 演技後は、サルコーを跳んだ場所に戻って氷を触ってから、悔しそうな顔を見せて四方へ挨拶。リンクサイドに戻ってから顔をしかめて「はまった」と一言つぶやいたようだった。

「正直言って、自分の中でミスった感覚がまったくないので、氷に嫌われるような、なんか悪いことしていたんですかね~(苦笑)。サルコーを跳ぶ瞬間に穴があって、もうジャンプにならなかったです。フォーム自体もリズムもすごく良かったですし、実際、それがほかのジャンプにもちゃんと出ていたし、今、体も全然疲れもなく余裕なので、練習してきたことは正しかったなと思っています。

 やっていることも正しいんだなっていう……(苦笑)、なんか複雑な心境です。6分間練習の時にすごく感覚が良くて、ミリ単位でずらせるなと思って穴にはまらないようにちょっとだけずらしていたんです。それで、本番も10センチくらいフェンス寄りにずらして跳んだんですけど、まさかそんなところに穴があるとは思わなかったので、まっ、しょうがないです」

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