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日本人選手が模範とすべき中田英寿らの生き方 海外の環境に「迎合する必要はない」

圧倒的な自己表現ができれば「個性」は認められる

 だからと言って、迎合する必要もない。

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 例えばかつて中田英寿はイタリア、セリエAのペルージャで周囲と混じらず、同僚たちにとって最後まで理解できない変人だったという。それでも、誰よりもボールを集め、頼りにされていた。圧倒的にピッチで自己表現ができるなら、変わり者の日本人として「個性」が認められる。

 中田は高校生の時点で自ら考えて行動した選手だったが、やはり子供の頃から自分と向き合う習慣を身につけたのだろう。自分は何者で、どこに行くべきか。それを問い続けると、周りも見えてくる。

 一般的に、日本人は時間をかけて精神的に成熟するところはあるだろう。その証左として、日本人選手は遅咲きのケースが少なくない。中山雅史、佐藤寿人、大久保嘉人、小林悠など多くのストライカーが30歳を過ぎてから、初めてJリーグ得点王に輝いている。

「世界の一流選手と真剣勝負で戦えば、踏みつけられるかもしれません。でも、俺はそこからはい上がる自信だけはある。厳しくても現実を受け止め、そこから先に進んでいく。俺は今までもそうやって生きてきたから」

 2010年南アフリカW杯前、岡崎慎司にインタビューした時の言葉である。その後、岡崎は3度のW杯を戦い、プレミアリーグで優勝し、35歳になった今もスペインで戦っている。

 その不屈さは少年時代から積み上げたもので、日本人が模範とすべき生き方の一つかもしれない。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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