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熱狂のラグビーW杯から1年 日本代表躍進の立役者が語る“スポーツ分析の未来”

日本代表の勝利を見届け同僚とともに喜ぶ戸田尊氏(右)【写真:九州電力キューデンヴォルテクス提供】
日本代表の勝利を見届け同僚とともに喜ぶ戸田尊氏(右)【写真:九州電力キューデンヴォルテクス提供】

これからのラグビーはどう変わっていくのか?

 3シーズンに渡る世界の最前線での経験を踏まえて、戸田氏は分析のフィールドから見るラグビーの未来についても言及している。

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「これからのラグビーは、ストラクチャーからアンストラクチャー重視となり、どんどん速い展開になっていくと思っています。変化が激しいゲームになるでしょう」

 いまやジェイミー・ジャパンの代名詞のようになっているアンストラクチャー・ラグビーだが、世界の列強も、このような戦い方を取り入れている。そうなれば、選手に求められる要素、つまり代表メンバーを選考する上で重要になる評価ポイントも変わってくるだろう。

「アンストラクチャーな局面で、選手が柔軟な対応力をしっかり示せるかがカギになると思います。アナリストの観点でいくと、試合の状況を的確に把握できる選手が増えることが大事になる」

 選手に今まで以上のクレバーさが求められるのが、これからの日本代表であり、それは世界の強豪国でも共通の価値観になるはずだ。同時に、戸田氏は、ピッチの外で急速な進化を続けるテクノロジーを、いかにラグビーがスピード感を持って取り込んでいけるかにも注目している。

「そう遠くない未来に、映像データやスタッツ(数値、統計)がベンチの手元にあるモニターで即時的に閲覧できるような環境が整うと思います。その時に選手自身がデータを活用する能力が向上していれば、よりゲームで何が起きているかを迅速かつ正しく判断できるようになると思います。アナリストにも、精度を落とさずに、分析のスピードをもっと上げていくことが求められるでしょう。BIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール=企業が持つデータを抽出・加工するソフトウェア)なんかも、今後おそらく導入されていくことになると思います。その中で大事なのは、そのデータから得られた洞察をしっかりと理解して、伝える能力ですね」

 いまや我々の日常生活にも急速に浸透し始めているAI(人工知能)など最先端のテクノロジーも、おそらく次回W杯までには強豪国のアナリストの中では導入されていくだろう。ここでは詳細には触れないが、戸田氏自身も、ある研究機関と連携してGPSを使ったラグビー分析とAIを連動させることも模索している。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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