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日本サッカーの弱点をいかに補うか 歴代代表監督の言葉以上に求められる協会の指針

「お前は大きくないから、まともにぶつかれば負ける。でもその代わり動けるんだから、シンプルにボールを動かして、どんどんスペースへ出ていけば、相手は嫌がるんだ」――イビチャ・オシム

オフトがもたらした技術を生かした組織力、オシムが説いたアグレッシブに動く精神

「お前は大きくないから、まともにぶつかれば負ける。でもその代わり動けるんだから、シンプルにボールを動かして、どんどんスペースへ出ていけば、相手は嫌がるんだ」――イビチャ・オシム

 これはイビチャ・オシムがジェフユナイテッド市原(現・千葉)の監督時代に、MF佐藤勇人へ向けて繰り返した言葉だという。チームへのメッセージも同じだった。

「ウチのチームは大きくない。だからその分、動けばいいんだ」

 賢くリスクを冒し、アグレッシブに動く。それがオシム哲学の肝だったし、自らが描く「日本サッカーの日本化」の根幹を成していたはずだ。

 また1990年代に日本代表を指揮し、92年のアジアカップで初めて大陸王者に導いたハンス・オフトがもたらしたのも、テクニックを活かした組織力だった。それまでフィジカルに優れた韓国は、日本にとって超えられない壁だった。一方で従来の日本代表スタッフは、選手を走らせては気合いを入れていたという。

「そんなことじゃ韓国に勝てないぞ!」

 もっと走り、もっと戦わなければ韓国に追いつけない。そんなアプローチをしていた。だがオフトは、韓国を追いかけるのではなく、もともと日本に備わっていた別の特長で勝負をした。テクニックに組織力を肉付けし、アグレッシブな韓国のプレスをかいくぐり、逆に彼らを走らせた。すると圧倒的にフィジカルに優れているはずの韓国の選手たちが、先に肩で息をするようになった。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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