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パワハラを起こす「7つの習慣」とは 8年前に体罰で辞任、過ち語る高校ラグビー元監督の願い

選手が内発的に動いてこそ生まれる想像を超えるプレー

「7つの習慣」とともにキーワードとして紹介したのが、内的コントロール(外的コントロール)という言葉だ。これも選択理論心理学で使われる言葉だ。

「外的」は指導者や教員など、他者からの指示や刺激を指し、従来の心理学で考えられてきた行動の動機づけだ。一方「内的」は自分自身の中での動機づけにより行動することを指す。内的コントロールを促すのが、先に挙げた身につけたい7つの習慣だ。部活でのパワハラが問題視されてから時間が経つなかで、未だに多くの指導者が過ちを犯すのは、内的、外的コントロールの双方にメリット、デメリットがあることも影響しているという。

「外的コントロールのメリットは、短期間で成果を出せることです。なぜならば、外からの刺激に反応して、とことんやらせることによって、自分の思考とか感情を抜きにして行動することで結果は出しやすい。でもデメリットとしては、やらされているという感覚があって、物事を自ら考えて判断し行動することは薄くなってしまう。指導者側としては短期間で結果を出すというメリットはありますが、長い目で見て、スポーツの目的は何かと考えた時に、勝ち負けやスキルを学ぶことは大事だけれども、その先にあるものを考えないといけないと私は思います」

 松井さんは流経大柏高監督辞任後に担った、茨城国体での同県チームのアドバイザーをした時の経験を事例として挙げている。

「ちょうど学んでいた7つの習慣を、アドバイザーとしてチームに対して使ってみたのです。その時、選手が自ら考えて内発的に動いたことで、(監督、コーチが)教えたことだけじゃなく、想像を超えたようなプレーが見られたのです。外的コントロールで指導をしていた時は、教えたことの範囲のプレーはよく出ますけども、想像を超えたようなプレーはありませんでした」

 多くの部活が、勝利という成功への最短距離を優先し、走ってきたなかで、常に歪として孕んできたのが暴力でありパワハラだ。先日も流経大柏高と同じ千葉県内での部活で監督が逮捕される事件が報じられたが、多くの失敗の中で、指導者たちは1歩ずつ選手の成功が勝つことだけではないと学び、認識を高める時代が訪れている。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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