[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

パワハラを起こす「7つの習慣」とは 8年前に体罰で辞任、過ち語る高校ラグビー元監督の願い

成功体験から脱却できない指導者がいる現実

 自らのパワハラというしくじりを実例に挙げながら、月1回の勉強会や講演会を開いてきた。今回のセミナーで、松井さんはパワハラを引き起こす習慣、抑制する習慣をそれぞれ7つ挙げている。

▼致命的な7つの習慣
[1]批判する
[2]責める
[3]罰する
[4]脅す
[5]文句を言う
[6]ガミガミ言う
[7]褒美で釣る

▼身につけたい習慣
[1]傾聴する
[2]支持する
[3]励ます
[4]尊敬する
[5]信頼する
[6]受容する
[7]意見の違いを交渉する

「ここ(致命的な7つの習慣)にあるものを、私は100%やり続けていました。100%これで私は指導されてきたし、100%これで成果を出していましたから。だからこれが正しいと思っていた。でも、やり続けた結果、相手に不幸感を抱かせ、パワハラで監督を辞任したのです」

 致命的な7つの習慣の中で育ち、結果を残し、指導者としてもアプローチをしてきたのは、松井さんだけではない。むしろ、多くの指導者たちが同じアプローチを取り入れ、成功も収めてきた。時代が変わってきたことを理解して自分の流儀を変えた指導者もいるが、自身の選手、指導者としての成功体験から脱却できない人もいるのが現実だろう。

「最初はこう考えていました。『俺は悪くない』『俺は正しい』。しかし、この7つの習慣を学ぶことで、人間関係の作り方、言葉のかけ方が間違っていたと気づかされました。先生と生徒、指導者と選手と身近になればなるほど、どうにかしてあげたい、お前らを勝たせたいと、最善を目指しますよね。ただ、やり方、言葉のかけ方を私は知らなかった。その結果、私が伝えたいことは伝わらず、相手もそれを違う風に捉えてしまった」

 部活でパワハラを問われた指導者を擁護するつもりはないが、松井さんが語るように、ラグビーの現場で取材する限りでは、大半の指導者は選手をより良い方向に導こうとした情熱が誤った方向へ傾いてしまったのは間違いない。時代は刻々とハラスメントの“許容範囲”を狭めているなかで、指導者側の意識が追いつけていないことも、部活の中でパワハラが今も後を絶たない理由の1つだ。

1 2 3 4 5

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
DAZN
Lemino
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集