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「育成の創価」を大学駅伝強豪校も警戒 「箱根で戦える選手」に育て上げる榎木和貴監督の信念

今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。前回大会王者で今季も10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上初の2年連続3冠を狙う駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は出雲2位、全日本6位と今シーズンの大学駅伝で好成績を残している創価大の榎木和貴監督に、独自の指導論について聞く。2021年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位に導くなど、就任5年で新興校を一躍大学駅伝の強豪の一角に押し上げた手腕は大きな注目を集めている。第1回では「育成の創価」と言われるほど、大学生活を通じて選手の能力を伸ばしていく指導の秘訣に迫った。(取材・文=佐藤 俊)

創価大駅伝部を率いて5年目となる榎木和貴監督。個々の能力を伸ばす指導に定評があり、今季は出雲駅伝で2位の好成績を残している【写真:編集部】
創価大駅伝部を率いて5年目となる榎木和貴監督。個々の能力を伸ばす指導に定評があり、今季は出雲駅伝で2位の好成績を残している【写真:編集部】

箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、創価大学・榎木和貴監督インタビュー第1回

 今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。前回大会王者で今季も10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上初の2年連続3冠を狙う駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は出雲2位、全日本6位と今シーズンの大学駅伝で好成績を残している創価大の榎木和貴監督に、独自の指導論について聞く。2021年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位に導くなど、就任5年で新興校を一躍大学駅伝の強豪の一角に押し上げた手腕は大きな注目を集めている。第1回では「育成の創価」と言われるほど、大学生活を通じて選手の能力を伸ばしていく指導の秘訣に迫った。(取材・文=佐藤 俊)

 ◇ ◇ ◇

「警戒するのは創価大です」

 記念すべき第100回大会を迎える箱根駅伝。運命のスタートが近づくにつれて、他チームから漏れてくるのは創価大への警戒感だ。2021年の箱根駅伝で総合2位と躍進すると、その後も7位、8位と安定した成績を残し4年連続でシード権を獲得。今シーズンも出雲駅伝2位、全日本大学駅伝で6位と上位進出を果たし、強さを見せつけている。榎木和貴監督が就任して5年目、ここに至るプロセスはどういうものだったのだろうか。

――榎木監督が創価大に来て5年目になりますが、最初はチームに対して、どのようなアプローチをしていったのでしょうか。

「1年目は学生の性格だとか、能力を詳しく調べてきたわけではなかったので、とにかく学生を知るというところからスタートしました。選手の話を聞くスタンスで進めつつ、箱根でしっかり戦えるようにするには、こういうトレーニングが必要だということを説明していきました。彼らが理解してくれたおかげで予選会を通過できて、次に箱根に出るだけではつまらないよねという話からシードを狙うという目標に変えて、無事にシードを獲れました。1年目の取り組みで上手くいったことで、監督を信じてやれば結果に繋がるんだということを選手が認識してくれたのは大きかったと思います」

――2年目は、異なるアプローチをしたのでしょうか。

「2年目は順調に強化ができている選手には、そこからさらに成長を加速させていくために違った練習を提案したり、高いレベルへの挑戦を積極的にさせていました。ただ、流れに乗り遅れている選手には厳しく言っていましたね。チーム全体としては成長できて、往路優勝、総合2位というラッキーパンチがあったので、指導という面では学生からの信頼が深まり、やりやすくはなりました。

 2年目は、箱根で総合3位以内という目標を掲げていたんです。前回に初めてシードを獲ったばかりなのに、選手は『何言ってんの、この人』と思っていたはずです。でも、結果が出てきた中で、目標を変えていくのは成長に欠かせないこと。結果的に、学生たちが疑わずについてきてくれたことが成績につながり、3年目も総合7位、前回大会も8位で4年連続のシード権を獲得し、それが今のチームに繋がっています。ただ、選手に求めるものも高くなったので、接し方がかなり厳しくなったのは自覚していまして、『あれ? 俺、1年目ってこんなに怒っていたっけな』と思っています(苦笑)」

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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