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“日本一速い”上野裕一郎監督が並走 箱根駅伝を狙う立教大、選手の成長促す異色指導

選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。立教大学陸上競技部の男子駅伝チームを率いる37歳の上野裕一郎監督は、就任4年目を迎えた。今も現役を続けており、“ランナー兼指導者”として選手の指導にあたっている。「日本一速い監督」とも言われ、練習だけでなく記録会でも選手と並走。自身の背中を追わせる異色のスタイルで、1968年以来55年ぶりの箱根駅伝出場を目指す指導法について話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)

1968年以来の箱根駅伝出場を目指す立教大学の男子駅伝チーム【写真:立教大学】
1968年以来の箱根駅伝出場を目指す立教大学の男子駅伝チーム【写真:立教大学】

連載「陸上指導者の哲学」、立教大学陸上競技部男子駅伝チーム・上野裕一郎監督インタビュー第2回

 選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。立教大学陸上競技部の男子駅伝チームを率いる37歳の上野裕一郎監督は、就任4年目を迎えた。今も現役を続けており、“ランナー兼指導者”として選手の指導にあたっている。「日本一速い監督」とも言われ、練習だけでなく記録会でも選手と並走。自身の背中を追わせる異色のスタイルで、1968年以来55年ぶりの箱根駅伝出場を目指す指導法について話を聞いた。(取材・文=佐藤 俊)

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 立教大陸上競技部男子駅伝チームの指揮を執り、4年目に入った上野裕一郎監督だが、特徴的なのが「走る指導」だ。かつて日本屈指のスピードランナーとして陸上界を引っ張り、今も現役ランナー。選手よりも走力があるため、ペーサーを務めたり、選手と並走して指導している。

「最初の頃は、まだ選手に力がなかったので、引っ張って少しでも力になろうと思っていました。そうすることで、今まで以上に良い練習ができて良かったですという選手が多かったんです。あと、指導者として、トラックの真ん中で立って見ているだけだと、この練習ってどのくらい苦しかっただろうとか忘れてしまうし、なぜこのタイミングで離れたのか聞けないじゃないですか。一緒に走ることで、苦しいところで話ができるし、離れそうな選手の隣に行って檄を飛ばすこともできますから」

 ポイント練習や夏合宿では、トラックで選手のそばを走る上野監督の姿が目についた。選手の動きや呼吸が乱れていくと、近くに寄り「ここは苦しいゾーンだから耐えろ」「粘ってラスト上げろ」等々、指示と檄を飛ばしていた。ランナーにとって、そうした声は大きな力になり、最後までやり切れば選手にとって大きな自信になる。

「離れる時って何かしら原因があるんです。集団で走っている時、ある選手の呼吸が急に乱れ、『どうした』って聞くと『足が重たくて、呼吸が早く上がってしまって』と答えたとします。それは、練習での疲労が抜けきれていないということ。『ここから1人になるけど、呼吸が楽にできるところまで落として、自分のペースでいこう』とか、すぐにアドバイスができるんです。遠くから見ていたり、車からだと、そうした小さなことに気づきにくいですし、離れてしまった後でいろいろ言ってもなかなか選手の頭に入っていかないですからね」

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上野 裕一郎

立教大学 陸上競技部 男子駅伝監督 
1985年生まれ、長野県出身。佐久長聖高校1年時から駅伝で区間賞を獲得するなど活躍し、1万メートルで日本高校記録を出した。中央大学でもスピードを武器に1年時から箱根駅伝など主要大会で数々の好成績を残した。エスビー食品へ進むと、2009年には5000メートルで世界陸上ベルリン大会に出場。13年からはDeNAに移籍し競技を続けていたなか、18年12月に立教大学陸上競技部の男子駅伝監督に就任。現役選手としての活動も継続する「ランナー兼指導者」として、チーム強化に努めている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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