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「鬼鬼メニュー」の言葉が独り歩き 一山麻緒を育てた名将、妥協なき指導の原点とは

選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。今回は五輪に4大会連続で出場した福士加代子を育て、現在は昨年の東京五輪女子マラソンで8位入賞を果たした一山麻緒を指導している、資生堂ランニングクラブの永山忠幸コーチに話を聞いた。2人の女性オリンピアンを育てたなか、貫いてきた指導方針や男子選手との違いなどについて語った。(取材・文=佐藤 俊)

東京五輪の女子マラソンで8位入賞を果たした一山麻緒【写真:Getty Images】
東京五輪の女子マラソンで8位入賞を果たした一山麻緒【写真:Getty Images】

連載「陸上指導者の哲学」、資生堂ランニングクラブ・永山忠幸コーチインタビュー第4回

 選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。今回は五輪に4大会連続で出場した福士加代子を育て、現在は昨年の東京五輪女子マラソンで8位入賞を果たした一山麻緒を指導している、資生堂ランニングクラブの永山忠幸コーチに話を聞いた。2人の女性オリンピアンを育てたなか、貫いてきた指導方針や男子選手との違いなどについて語った。(取材・文=佐藤 俊)

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 世界陸上選手権の女子マラソン日本代表の一山麻緒(資生堂)は、開催地の米オレゴン州入り後に受けた新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判定され、16日にレースを欠場することが発表された。目標としていた舞台に残念ながら立つことはできなかったが、今後は来冬のマラソン、そしてMGC、2024年パリ五輪へと流れていく。そうしたなかで永山忠幸コーチは、一山の競技力を高めるために今年3月に行われた東京マラソン以降、基礎の見直しをしてきたと語る。

「結果を出すためにベースとして必要なのは、走力です。走力なくして世界の舞台で順位を狙うことはできません。土台となるものがしっかりと作られていないと、足もとから簡単に崩れてしまうんです。プロ野球でファインプレーが出るのは、偶然ではなく、何千回と基本的な練習をしてきたからこそ生まれるんです。陸上も同じです。そのためにベースをどこまで上げられるのか。筋脚力をはじめ、体幹などあらゆるところを見直して、作り上げています」 

 指導は、福士加代子を強化していた頃と意識的には変わらない。世界で勝つためには、世界一の練習を積まなければならない。先輩たちの教えは、今も永山コーチの指導の根本にある。

「大会でトップを取るため、笑顔でゴールするためには、とことん苦しい練習をするしかないと考えています。その部分については、これからも妥協はしません。独学でいろんなスキルを磨きながら、やったことのない練習と経験したことがないようなことをやることに対して選手は不安が生じると思いますが、メンタル的なところをフォローして前に進んでいきたいですね」

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永山 忠幸

資生堂ランニングクラブ 専任コーチ 
1959年生まれ、熊本県出身。東京農業大時代に4年連続で箱根駅伝に出場。2000年にワコールの監督に就任すると、福士加代子の才能を見出し、長距離走とマラソンで2004年から4大会連続で五輪出場に導いた。東京五輪の女子マラソン8位入賞の一山麻緒も指導し、今年4月に揃って資生堂へ移籍。専任コーチとして、24年パリ五輪出場を目指している。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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