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実力拮抗の箱根駅伝、勝負のポイントは? 國學院大監督「1区の攻防が結果を左右する」

箱根で勝つためには「ミスをなくし、どこの区間にアクションを持っていくか」と話す國學院大學・前田康弘監督【写真:編集部】
箱根で勝つためには「ミスをなくし、どこの区間にアクションを持っていくか」と話す國學院大學・前田康弘監督【写真:編集部】

勝つために「どこの区間にアクションを持っていくか」

――当確ぎりぎりの選手が出場の椅子を巡り、削り合うことはありますか?

「それは、気をつけないといけないと思っています。削り合って疲弊して、本番で力を発揮できないというのが一番マイナスなので。だから、うちはこの練習で決めるとかはしないんですよ。今までのトータルと、今のコンディションで決めるというスタンスを最初に打ち出しています。大学によってはトラックの一発勝負で選考を決めるところもあります。確かにそれだと白黒つくし、明確だと思うんですけど、逆に選手は疲弊して大丈夫かなと思うんですよ。それに1秒差で勝った選手よりも負けた選手の方が内容的にも良くて、伸びていきそうだなと思っても、負けたらその選手は使えないですからね」

――どうやって調子の良い選手を見極めるのですか?

「この時期は、直に選手が走っている姿と余裕度を見ます。全体を見ないでマネージャーから上がってきたタイムだけ見ると、必ず失敗します。実際、私が見ていない練習後に、選手に『どうだった?』と聞くと、『余裕ありました』って嘘をつくんです、みんな、箱根に出たいから。でも、練習を見ていると誤魔化せないですからね。そういう意味では私は練習を見て、タイムを超えたものがあるかどうかというのを見極める力が、指導者にはないとダメかなと思います」

 12月29日に区間エントリーが発表された翌日、國學院大では復路の調整をして、いよいよ本番を迎えることになる。優勝候補には駒澤大、青山学院大、早稲田大など強豪校の名前が挙がっているが、陸上選手や関係者の間では“ダークホース”ではなく、優勝を争うチームとして國學院大を推す声も大きくなっている。

――箱根駅伝で國學院大が勝つために大事なことは、どういうことでしょうか?

「我々が勝つためには、まずミスをなくすこと。ゲームチェンジャーがいないので、ミスが出て、大きな遅れが出てしまうと苦しくなる。あと、どこの区間にアクションを持っていくかですね。流れだけ作って惰性で押していくのは、シードを狙う時の戦い方。うちは流れを作った上で山で勝負するとか、何かしらのアクションを起こさないと上には行けないと思っています」

――山は、一つのポイントになりますか?

「もちろん、山は重要です。でも、個人的には1区の攻防が今回の箱根の結果を左右するんじゃないかと思います。おそらくですが、三浦(龍司/順天堂大2年)くんと吉居(大和/中央大2年)くんが来るので、ラストの叩き合いは相当なレベルになると思います。そこで20秒とか30秒差がついてしまうと、2区の走りを大きく変えてしまうことになる。そうなると、うちは厳しくなります。ゲームチェンジャーがいないので」

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前田康弘(國學院大學陸上競技部監督)


1978年生まれ、千葉県出身。駒澤大学時代に箱根駅伝を走り、4年時には主将として総合優勝を果たした。2007年に國學院大學陸上競技部コーチとなり、09年から監督に就任。着実にチーム強化を進めると、19年の出雲駅伝で初優勝。20年の箱根駅伝では総合3位の成績を収めた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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