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箱根駅伝までの1か月は「手を抜かせる期間」 帝京大監督が語るチームマネジメント術

中野孝行監督は、選手の区間配置について「ギリギリまで見極める」と語る【写真:志賀由佳】
中野孝行監督は、選手の区間配置について「ギリギリまで見極める」と語る【写真:志賀由佳】

本番に向けて選手は「オーバーワークになりがち」

――箱根のエントリーから本番まで、かなり選手を管理していくのでしょうか。

「管理というか、手を抜かせる期間ですよね。11月下旬から合宿に入って12月上旬に終わって、あとはコンディション作りになります。合宿で疲労は溜まっているけど、箱根が近づくとテンションが上がってくるし、緊張感が高まるので、そこからが大変でもあります」

――その状態が続くと、どうなるのでしょうか。

「選手は、もっとやらないといけないと思うので、オーバーワークになりがちなんですよ。彼らは非常に繊細なので、ちょっとでもピークを越えてしまうと、落ちてしまう。なので、メリハリをつけて、無理をさせない。しっかりと蓋をしておいて、爆発させずに本番までの3週間を過ごします」

――区間配置を決める時は、どのように決めるのでしょうか。

「ある程度、エントリーした時点で、頭の中にあります。でも、そこから3週間で体調を崩したり、故障したりする選手が出ることもあるので、私はギリギリまで見極めます。他大学では、早い段階で区間配置を決めているところもありますけど、うちはそれで上手くいったことがないんですよ。決めてしまうと、どうしても安心感が出てしまう。

 それが目に見えてしまうと、『箱根を目指している選手が何人もいるのに胡坐をかいている場合か』って怒るんですけど、そうなると上手くいかなくなりますね。逆に緊張し過ぎてしまう選手もいます。常に全力でやっている選手は、とにかく抑えるのが大事。競馬のようにスタートゲートに入る前に、『どうどう』と落ち着かせるようにしていかないといけないんです」

 12月下旬に箱根駅伝10区間の区間エントリーがされると、当日変更をにらみながら、あとは静かに当日を待つことになる。

――多くの大学の監督は、この時点で今年の出来高が見えてくると言います。

「エントリー発表から区間エントリーまでの間で、選手がどう変化していくのかは楽しみですよね。中には、さらに磨かれていく選手がいれば、“酸化していく”者もいる。エントリーされた選手だけじゃなく、サポートする側も必死になって応援してくれている。走る選手、サポートする選手が一体化した時は、すごくいいチームになる。そうなると不思議と選手が走ってくれるし、結果もいいんですよ」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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